「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率が、8月27日(水)、市財政部から公表された。
夕張市の財政破綻をきっかけに、50年ぶりの財政再建団体制度の見直しで、2007(平成19)年6月に成立した地方自治体財政健全化法で、これまでは一般会計を主としていたが、より明確にするために、一般会計・特別会計・企業会計などを連結して実質赤字比率を算定することになった。
健全化判断指標として、①実質赤字比率、②連結実質赤字比率、③実質公債費比率、④将来負担比率、⑤資金不足比率が新たに採用された。この比率の公表は、平成19年度決算から義務付けられ、財政健全化計画の策定は、平成20年度決算から適用されることとなっている。
市財政部が、27日(水)に公表した平成19年度の健全化判断比率等の状況によると、実質赤字比率は4.06%(早期健全化基準11.72%)、連結実質赤字比率は16.12%(同16.72%)、実質公債費比率は16.4%(25%)、将来負担比率は149.8%(350%)、資金不足比率(病院)は41.7%(20%)であることが明らかになった。こちら
これまで、早期健全化団体に転落すると見られていた連結実質赤字比率は、小樽市の場合の基準16.72%を0.6%(約1億9,000万円)下回る16.12%のすれすれセーフで、イエローカードを免れた格好となった。
しかし、病院事業会計は、経営健全化計画を策定しなければならない基準を倍近くオーバーしており、レッドカードとなった。
これにより、平成20年度3月決算までは、黄色信号が点滅したたままで推移することになる。病院事業会計のさらなる悪化が、一般会計の足を引っ張る可能性が、さらに高まっていることによる。
平成20年3月の第1回定例会では、14億4,500万円の累積赤字を見込み、健全化比率は20.2%となっていた。これが、5月の第1回臨時会では、13億7,900万円の累積赤字額となり、比率は17.7%となった。3月・5月ともに健全化基準の16.72%を上回り、早期健全化団体への転落が必至の状況となっていた。
9月の第3回定例会では、赤字額が12億9,659万円とわずかに縮小し、16.12%の比率となり、イエローカード基準の16.72%を、わずか0.6%(約1億9,000万円)だけ下回ることになり、すれすれセーフで、本塁に滑り込んだ。
しかし、病院会計の36億円の資金不足額が、医業収益の86億円に占める割合は、41.7%と基準の20.0%を大きくオーバーしている。今後の病院会計は、患者・医師数の減少で、悪化の一途を辿ることが目に見えており、レッドカードが消えることなく点滅したままで、3月決算の数字が注目されることになった。
貞原正夫財政部長は、「財政を担当している私達は、毎日必死だ。国から、平成20年度決算から適用するから早めに考えなさいとされ、比率は平成19年度決算から示すことになり、職員の給与カットに踏み込んだ。平成20年度決算で、なんとか頑張ってクリアできるようにしたい」 と、ギリギリの財政運営に頭を痛めていた。
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◎地方公共団体の財政の健全化に関する法律
◎地方公共団体の財政の健全化に関する法律施行令