小樽のシンボルとなっている水天宮の外人坂に隣接して、マンション建設計画が進んでいることが本社の調べで分かった。
マンションの新築工事は、地上3階・地下1階の鉄筋コンクリート造・22戸の共同住宅「 (仮称) AMS 水天宮」。敷地面積840.52平米、延べ面積1,286.78平米、建築面積390.19平米。8月20日頃に着工予定の看板が、すでに、外人坂に立てられている。
小樽市は、2006年(平成18年)11月に「景観行政団体」となり、景観行政の指針である「景観計画」により、市民や事業者とともに実効性の高い景観の保全・創出を図ることにしている。
水天宮周辺(7.7ヘクタール)は、小樽市景観計画で、特別景観形成地区の重要眺望景観地域に指定されている。「重要眺望景観地域」は、重要眺望地点からの良好な眺望景観の保全を図るために、建築物等の規制を行う必要がある当該重要眺望地点の周辺地域とされている。
市指定の重要眺望地点は、水天宮、天狗山、手宮公園、平磯公園、旭展望台、毛無山など6ヶ所が指定されている。特に水天宮は、市内の中心部にある緑多い眺望景観に優れた地区として、建築物等の規制があり、届出が必要とされている。
当該地域は、「市の中心部にある眺望景観に優れた地区であることから、水天宮境内から港を見る眺望及び港や市街地から境内を見上げる景観の保全に努め、水天宮を中心とする緑の保全に努めるとともに、外人坂周辺の石垣や石段の保全に努めます」 とされている。
今回、建築計画が明らかになった場所は、これまで、古い民家が廃屋となっていたが、老朽化で取り壊されていた。この場所に隣接する海側の土地には、かつて、マンション建設計画が浮上したが、水天宮からの景観が阻害されると、地域住民の反対にあって中止に追い込まれていた。
「 (仮称)AMS水天宮」は、地上3階・地下1階の高さ9.2m。すでに市の建設部まちづくり推進室に、6月10日付で景観の届出がなされた。数回の協議を経て、「色はけばけばしいものではなく、周囲の調和もとれ、水天宮からの眺望もさえぎられない」 と、市は、7月5日に確認通知書を送付していた。
「通知後、急にマンションが建つと、周辺の市民がびっくりするので、オーナーさんと話し、看板を立ててもらうように要望していた。今日(22日)看板を確認した。水天宮の重要なところに、誰も知らないうちにマンションが建ってしまうのは困るので、看板が立つことはベターだ」 と話している。
同マンションは、坂の高低差を利用し、外人坂から見ると一部2階・一部4階の建物となる。建築着工予定は、8月20日頃としている。
市には、景観の届出はなされたが、まだ建築確認申請は出されおらず、この時期から見て、民間業者による確認申請となるとみられる。