市立美術館・文学館が入る市分庁舎敷地内(色内1)にある4本のポプラの木が、市の剪定作業で、バッサリと枝が切り取られ、丸坊主状態となっている。
この4本のポプラの並木は、旧手宮線散策路に隣接し、春から夏にかけて緑濃い都市景観を作り出していた。しかし、市の3年に一度行う剪定作業で、うっそうと生い茂っていた葉のついた枝が、バッサリ刈り取られ、丸坊主の無残な姿をさらしている。
この4本のポプラ並木は、市街地の貴重な緑で、その堂々とした枝ぶりから、北の街・小樽の都市景観のひとつを形成していた。美瑛町の道路沿いにある見事な1本のポプラは、CMやドラマ撮影で使われ、通称ケンとメリーの木として、観光名所となっている。
これに反し、小樽市は、観光都市宣言をするとしているが、観光名所ともなるような貴重な緑の財産価値を下げてしまう剪定方法に終始している。緑に対する姿勢の違いが、このポプラ並木の剪定で露呈している。
市の剪定作業は、約14万円かけて、5月19日に、市内造園業者によって行われた。「3~5年に一度剪定している。1年でどんどん伸びるので、あまり枝が長くなると、風で倒れたりして危険だから行っている。緑を切れば何か言われることは分かっているが、安全のことを考えて剪定して、少しだけ緑を残している」(市生活環境部生活安全課)。「景観上は見づらくなってしまうが、手宮線や電線がそばにあるので、安全にするために剪定している。枝が伸びて葉が生い茂ると、カラスが巣をつくって、卵を守ろうとして、通る人を襲うことがある」(市島造園) と、市も業者も、少しだけ緑を残し、景観上は見づらいことを認めている。
市民からは、「なんで緑の濃くなるこの季節に丸坊主にしたのか」、「夏の観光シーズンが終わったあとでも良いのではないか」、「こんなにバッサリ切る必要はないのではないか。もっと枝を残すべき」 との声が上がっている。
「5月に剪定する理由は特にない。ずっとやっていたので、夏から秋に来る台風で、伸びれば伸びるほど危険なので、枝が伸びきる前に剪定した」 (市生活安全課) というが、その剪定時期や剪定方法については、もっと慎重に検討して行う必要がある。
市は、樹木が市の”物”である前に、市民の共有財産であることを忘れているのではないか。夏の盛りになり、暑さが続くようになるが、わずかな風でも、サラサラと柔らかな葉音を奏でる4本のポプラ並木は、今年は、丸坊主姿で夏の観光シーズンを過ごすことになる。
”観光都市小樽”は、何処に行こうとしているのか。
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