「オイッコラッ」、「あなたは素敵なので逮捕します」。
大正時代の制服警官が、小樽の観光名所・堺町通りを歩く観光客に近寄る
「キャー、逮捕されちゃった。ハハハ」。昨年同所に誕生した「出世前広場」にある「オイッコラッ交番」の前では、樽っ子と観光客の交流で賑やかだ。
大正時代の警官の格好をするのは、市内入船在住の藤田尚孝さん(73)。今はなき海運町で生まれ育った樽っ子。父親の仕事の都合で小樽を離れたが、妻や母の他界で、2005(平成17)年に小樽へ帰って来た。今は、長男と一緒に住んでいる。
趣味は、エッセイ・詩・童話を書くことと、コーヒーの飲み歩き。2007(平成19)年、「出世前広場」にある喫茶店でコーヒーを飲んでいると、目の前にある「オイッコラッ交番」を発見。大正時代の交番を再現して造られた建物に飾られた、当時の制服・制帽・サーベルを腰にした警官の写真と「オイッコラッ、あなたは素敵なので逮捕します」と書かれた看板に興味を持った。同施設を建設した昆布専門店「利尻屋みのや」(堺町4・簑谷修代表)に、「私が逮捕します」 と、観光案内することを打診。「どうせ、やるなら、制服を着てやろう」 と、今年6月、ようやく制服が完成し、“藤田警官”は、堺町を歩く素敵な女性を次々に“逮捕”している。
藤田さんは、制服が完成する前から道行く観光客を見つけては“逮捕”し、小樽の観光案内をしている。カップルに声をかけると、男性が、「お前素敵だってよ」 と持ち上げることもあるという。簡単な小樽の歴史を説明し、天狗山や祝津など小樽の名所に車で案内している。
現在は、学生服を改良した黒地にオレンジのラインとボタンが入った制服で、出世前広場を巡回中。
「あなたは素敵だったので逮捕しました、また小樽へ遊びに来てねと手紙を渡し、住所も教えている。返事をくれた人とは文通で仲良くなり、また小樽に来てくれたときに観光案内している。みんな孫みたいに可愛い。今では、孫は29人に増えている。今年の夏も、逮捕した女性と洞爺湖をはじめ道内旅行をして、最後に小樽観光をする予定。これからも、素敵な観光客の人に声をかけて、小樽の街に興味を持ってもらえるようにしたい。オイッコラッと声をかけると、みんな最初は驚いてしまうが、小樽のことを話すと喜んで帰って行く。小樽観光の名物になれば面白い」 と、道歩く素敵な女性を“逮捕”し、小樽談義に花を咲かす。
“藤田警官”の巡回時間は、昼から夕方にかけて行われる。