市立病院改革で、市内医療機関との再編ネットワーク化を目指す小樽市主催の「再編ネットワーク化協議会」の初会合が、6月4日(水)18:00、市役所第1委員会室で開かれた。
この協議会は、津田哲哉・小樽市医師会副会長、近藤真章・済生会小樽病院長、川村健・協会病院長、高田義人・掖済会病院長、山田厚副市長、鈴木隆・市立病院長、馬渕正二第2病院長、外岡立人保健所長の計8名で構成する。総務省の公立病院改革ガイドラインに沿った改革プラン策定のために、急遽、招集された。
4日(水)の初会合には、同メンバーや山田勝麿市長、市立病院事務局、北海道庁職員なども参加した。
冒頭、山田市長が、「小樽市は、2つの市立病院を運営してまして、多額の不良債務を抱える中で、施設老朽化や2つに分かれていることの非効率性に加え、医師確保が困難になり、患者の減少で経営状況が厳しくなっている。市立病院の役割の明確化、規模・機能の適切な見直し、経営改善など、病院事業の総合的な改革が求められている。
この問題解決のためにも、改革プランを策定することになりました。プランの内容は、ガイドラインに示された3つの視点、経営の効率化、再編ネットワーク化、経営形態の見直しが軸となります。経営効率化と経営形態の見直しは、現病院の経営上の問題とみて、病院側の関係部で整理し、外部有識者の意見を聞きながら、策定していきたい。
一方、再編ネットワーク化については、地域における病院、診療所と、市立病院間の役割分担や連携がどのように図れるのか、小樽市の医療需要や医療資源を分析した上で、市内の病院関係者と協議をしながら検討する必要があると考え、この協議会を設置させて頂きました。協議の過程で必要があれば、経営効率化や経営形態の見直しの検討状況をお示しし、ご意見を伺いたい。
近年、地域医療の環境が大変厳しくなっています。市では、みなさんのご尽力や、札幌に隣接しているということもあり、現在のところ、一部地域で生じているような地域で医療が提供出来なくなるという深刻な状態ではないが、現実的には、周産期医療などが困難な状況になっている。このままでは、厳しさを増して、市民が必要なときに必要な医療が受けられない状況になると危惧している。
このため、地域にある限られた資源をいかに活用するかが求められ、再編ネットワーク化を進めることが重要と思っている。今後の地域医療をどうしていくかを考える場所だと思っている。2つに分かれている非効率的な運営を余儀なくされ、老朽化が進んでいる市立病院をどのように再編をするか判断してまいりたい。市民の命と健康を守るために、どうあるべきか、皆さんの忌憚(きたん)のないご意見を聞かせて頂きたい」 と挨拶し、退席した。
この協議会の情報公開に関しては、会合内で検討するとして、初会合は冒頭の3分間だけ、報道機関に公開するに留まった。
これまで、市立2病院の老朽化に早期に対応せず、巨額の赤字を放置したまま、実現不可能な豪華新病院建設の夢を追い続けてきたのが小樽市だ。その夢が壊れ、新病院建設を自ら投げ出した小樽市が、これまで蚊帳の外に置き、その意見も取り上げてこなかった市内医療関係者を集めて、今度は病院改革の再編ネットワーク化を図ろうとしている。市役所主導の再編ネットワーク化には、医療関係者からも、冷ややかな目線が注がれている。
病院改革に熱心な他市が採用している強力なリーダーシップを持つ外部有識者会議で、医療関係者や市民に納得出来る解決策を示すことこそが望まれているところだが、市は、これに背を向けている。
この協議会が機能するかは、今後の推移次第では、極めて難しい状況を迎えることにもなりそうだ。今後の協議会の動向が注目される。
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