スケールの大きな構図。豊かな色彩の饗宴。明るい開放感があふれる。小樽出身の風景画家・中村善策(1901~1983)の作品約80点が、24日(土)から、市立小樽美術館(色内1)で、一堂に公開されている。
市立小樽美術館内に中村善策記念ホールが開設してから、今年で満20周年。同館では、これを記念し、「初期作から独自の風景画を生み出すプロセスを展覧」する「中村善策の全貌展」を、5月24日(土)から7月21日(月)まで開催している。
中村善策は、1901(明治34)年に小樽市に生まれた。風景画家の分野で優れた作品を残し、日本を代表する風景画家として高い評価を受けている。生前から自作を小樽市に寄贈。没後は、遺族がその遺志を受け継いで、市に寄贈した。これを受け、1988(昭和63)年に記念ホールが開設し、今年で20周年を迎えた。
この「全貌展」のオープニングセレモニーが、初日の24日(土)9:30から、多くの関係者が集まって行われた。菊譲教育長は、「これまで常設展でお見せできなかった作品を、1階の記念ホールと2階で紹介する」。遺族の中村憲さんは、「一つ一つの作品を取ってみても、鮮やかさ、静けさが感じられ、その時代にあった描き方をしている。作品を見ながら、その時代背景を感じてもらいたい」 と挨拶した。
セレモニーに参加した関係者や市民約80人は、記念ホールや2階特別展ホールに飾られている小樽や札幌、石狩などの雄大な景色が描かれた作品をじっくり見渡した。中村善策が対話するように描いたと言われる豊かな森林や水辺の風景画を見つめ、その魅力を感じていた。
市内女性は、「実家があった場所から見た風景の作品があって、懐かしく思いました。今はもう家はなくなってしまったけれど、当時のことを思い出せて嬉しい」 と感慨深げだった。
◎中村善策の全貌展