小樽市(山田勝麿市長)は、5月22日(木)に開く小樽市議会第1回臨時会で、一般会計や特別会計の累積赤字を、今年度予算から繰上充用する議案を提案する。
市の総務・財政部長が、18日(月)16:00から記者会見し、第1回臨時会に提案する平成20年度小樽市一般会計、国民健康保険事業特別会計、老人保健事業特別会計の3補正予算など、4議案・2専決処分報告の概要を説明した。
市が、一般会計の累積赤字を、「雑入」から「前年度繰上充用金」として補正するのは、4年連続となった。しかも、今回の繰上充用金は、2006(平成18)年度の11億8,401万円より1億9,499万円増え、13億7,900万円と累積赤字がさらに増加した。
小樽市一般会計の累積赤字額 | |
2007(平成19)年度決算(見込み) | 13億7,900万円 |
2006(平成18)年度決算 | 11億8,401万円 |
2005(平成17)年度決算 | 14億0,332万円 |
2004(平成16)年度決算 | 11億7,977万円 |
この2007(平成19)年度の13億7,900万円の累積赤字を、国が新たに設けた地方財政健全化法の連結実質赤字比率に直すと17.7%となる。これは、市の基準値の16.7%を1%上回っている。この1%は、金額に直すと3億1,000万円にあたり、早期健全化基準をクリアするためには、対象年度となる2008(平成20)年度で、この金額を消さなければならないことになった。
早期健全化団体へのイエローカードが出されれば、財政健全化計画の策定や公認会計士による外部監査の実施などが迫られ、起債が認められなくなり、自治体としての形を成さなくなる。
市財政部では、「一般会計570億ぐらいの20年前レベルの財政規模で、1億から2億で苦労するのは、ギリギリの財政運営だと言える。18年度決算額の赤字を膨らませない予定だったが、2億円膨らんだ。19年度は、ダメだったが、20年度で、なんとかクリアしたい」 (貞原正夫財政部長)。
一般会計のほか、国民健康保険事業特別会計でも、16億800万円を同じく「雑入」から繰上充用しており、老人保健事業特別会計でも、1億7,339万円を繰上充用の提案をしており、非常手段の前年度繰上充用金を濫用しており、市財政の破綻ぶりをまざまざと見せている。
一般会計と特別会計を合わせると、29億4,000万円の赤字を計上、さらに、病院企業会計でも37億8,500万円の累積赤字の決算見込み額となっている。公営企業における資金不足比率が、20%を超えると、早期健全化に該当することになるが、小樽市は、これをクリアすることも迫られている。一般・特別・企業会計の実質赤字額は、合計で56億2,700万円もの巨額に及んでいる。
22日(木)に提案される2008(平成20)年度の一般会計・国保特別会計・老人保健特別会計補正予算の繰上充用で、一日だけの臨時会が、どのような質疑をするか注目される。
また、本臨時会には、損害賠償額の決定についての議案も提案されている。これは、今年2月26日、市役所構内に駐車しようと左折した環境部(現生活環境部)の軽トラックが、前方左右不確認で、構内を通行していた女性に衝突し、右足首の骨挫傷のケガを負わせ、治療費などで101万4,353万円を支払うもの。山崎範夫総務部長は、「100%落ち度がこちらにあるということで、損害賠償額の議案を提案する。運転手と助手席の職員には、しかるべき委員会で措置をした」 と説明した。
※ 地方自治法施行令 (翌年度歳入の繰上充用)
第百六十六条の二 会計年度経過後にいたつて歳入が歳出に不足するときは、翌年度の歳入を繰り上げてこれに充てることができる。この場合においては、そのために必要な額を翌年度の歳入歳出予算に編入しなければならない。
※ 前年度繰上充用金 (ぜんねんどくりあげじゅうようきん)
「会計年度経過後その会計年度の歳入が歳出に不足する場合には、翌年度の歳入を繰り上げて、その年度の歳入に充てることができる。繰上充用は会計年度独立の原則の例外をなすものであり、手続としては必要な額を翌年度の歳入歳出予算に組み込むことが必要であり、その時期は会計年度経過後出納整理機関に行うのが通例である。ただ、この制度は、地方公共団体にのみ認められた非常手段であるから、この制度を濫用すべきではない」 (【地方自治入門】 地方政治用語集) とされている。
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