金がない市に頼らず 市民がテニスコート整備


teniss1.jpg 財源難を理由に小樽入船公園のテニスコート(入船5・小樽入船公園庭球場)の整備が出来ない市に変わって、小樽テニス協会(榎本正克会長)では、自ら資金を捻出して市営コートの整備改修を行っている。
 同会の会員は約200人で、これまでコート整備や初心者指導、大会開催、清掃などを会費で行っている。活動する市営テニスコートは、今年で設置約40年を迎えている。同会では、常にコーティング整備を行っているが、10年に1回は土を入れ替えるなどの大改修整備が必要となる。1985(昭和60)年頃までは、市から補助金が出されていたが、以後20年間は 「金がない」 と、市からは一円の補助金も断られ続けている。
teniss2.jpg このため、今年、会費増額や協賛金で資金を集めて、コートの大改修整備を行うことにした。会費は、一般会員10,000円・家族会員6,000円などとなっていたが、今年から一般会員を12,000円に、家族会員を10,000円に増額する。団体会員も1人10,000に変更することにした。これで、現在の会費収入176万円から200万円に増える予定だが、会員が減少することも視野に入れているため、まず整備資金は銀行借入を行い、今後、各方面から寄付金などを集めていくことにしている。
 2003(平成15)と2004(平成16)年の2ヵ年に、「表面の土がパサパサになり、雨降ったらグチャグチャになってなかなか乾かず、石ころも出てくる。劣化してローラーをかけても締まらないので、大きな大会を開催出来ない」 と、約300万円の費用をかけて、4面あるうち2面のコートを整備した。1コート150万円は榎本会長が実費負担、もう150万円は会費から賄った。
 今年は、60周年を迎えることから、会費増額や協賛金・寄付金などで資金を集めて、他の2面のコートを改修整備することにしている。これまで、40周年、50周年の時には、全国から有名選手を招待し、記念事業を行ってきたが、今年は約240万円の費用をコート整備に充てることになった。
teniss3.jpg コートには、まだ雪が解けず積もっているため、4月6日(日)10:00から、コートの雪割り作業をスタートした。約60人の子供から大人までの会員がスコップを持参し、コート周囲に積もっている雪山を削った。毎年、4月上旬から下旬にかけて毎週日曜日に行っている作業で、会員たちは、「今年は雪が少ない。今日と来週で作業は終わるのではないか」 と熱心に作業に取り組んでいた。
 この雪割り作業が終わると、5月7日(水)から24日(土)まで、同コートの改修工事が行われる。会員の中には、「誰も使わないあんな(望洋シャンツェ)ジャンプ台を作っておいて、金がないと言って、市民が使うテニスコートの整備はやってくれないんだもんな」 と、呆れながら額に汗を流していた。
 榎本会長は、「陳情を出して何回もお願いしたが、お金が無いから予算が立てられないと断られている。自分たちが使うところだからという声もあるが、結果的に市に寄贈することになる」 と話している。
 財政破綻状態の小樽市の惨状は、市民負担を増加させているが、市民たちは、金欠市役所に見切りをつけ、自分たちの手と金で現状を整備しようとしている。これは、市営テニスコートばかりではない。公園などにある市のブロンズ像なども、汚れたままに放置されているが、これも市民が自らの工夫と金集めで修復作業に取り掛かることにしている。
 小樽市民の間では、金欠市役所により加速された税負担に耐えながら、なお、自分たちの金をやりくりしながら市営のものを整備するのは、二重の税金払いとなっている。
 市営テニスコートというのは、名ばかりで、実質的には、市民営テニスコートになっている。市営から市民営へと看板を書き換える必要がある。