4月4日(金)から5日(土)の深夜、青い列車を乗せた大型トレーラーが、ゆっくりと高島―手宮間の約1kmを移動した。
関係者、青色のランプを光らせたワンボックスカーや警備員に誘導され、周囲に注意しながら道道海岸高島線をスローペースで進んだ。多数の報道陣がカメラを片手に後を追った。深夜にも関わらず、大勢の関係者が見守る中、列車レストランの大移動作戦がクライマックスを迎えた。
列車レストラン 「トレノ」 の大移動作戦は、4日(金)午前からスタート。全長約27m×幅約3m×高さ約4mの車体と車輪を切り離し、大型クレーン車2台がスリングバンドの共吊りで、車体を宙に持ち上げてトレーラーに乗せていた。
4日(金)23:00、車の交通量が少ない時間を見計らって大移動を開始。警備員3人が、行き交う車を一時停止させ、列車を乗せたトレーラーが、日本製粉株式会社小樽工場(高島1)を出発した。列車は、緩急車と客車を2台のトレーラーに分けて運ばれた。
トレーラーは、歩くスピードよりも遅い時速5m程度で、道道海岸高島線を進んだ。周囲には多くの報道陣が駆けつけており、フラッシュやライトが照らされ、トラックの上でどっしりと構えていた青い列車が、闇の中にくっきり浮かび上がっていた。
列車は、小樽の漆黒の海を望みながら、水産市場や鉄工所、工場、湯の花温泉などを約1時間かけて通り過ぎた。手宮のホーマックから市総合博物館までの道路は一時通行止めにし、大型トレーラーが、わずか2車線の狭い道路を右折して、ゆっくり館内駐車場に入った。
比良嘉恵代表は 「見上げると大きいですよね。中に入っていると分からなかった。照明をつけながら動くのも趣がありますね」 と、大移動の様子をじっと見つめていた。
工事元請の(株)福島工務店の福島正紘代表取締役は 「ショウェイさんの技術はやはり頼もしい。小樽では近年こういった作業はないが、やっぱりプロだな。あのトレーラーの後ろの部分はコントローラーで動かせるので、この狭い博物館の入口も入れた」 と、大移動の成功に満足気だった。
この大移動作戦を設計・提案した同社の福島慶介企画室長は 「大移動という作業でこんなに人が集まってくれた。この人たちがずっと注目してくれるだけでも小樽の盛り上がりにつながるのではないか。手宮地区の再生は小樽の再生につながると思う」 と話していた。
この大移動の様子を見に来ていた市内在住の夫婦は 「小樽ジャーナルに、夜に移動すると掲載されていたので、写真を撮りに来ました。暗くて中々うまく撮れないけれど、列車の大移動が見られたので良かった」 と何回もシャッ ターを切っていた。
レストラン「トレノ」は、国鉄時代を代表する青い客車で、北海道最初の鉄道 「幌内鉄道(小樽市~札幌市~三笠市)」 の起点・手宮駅にその姿を移し、4月25日(金)からリニューアルオープンする。
◎関連記事1