小樽市築港の大型商業施設「ウィングベイ小樽」を所有・運営する株式会社小樽ベイシティ開発(OBC・中村憲正代表取締役)は、4月1日(火)、債権者のイオン北海道(ポスフール)に対し、193億円の借金を29.1億円に棒引きし、7月末までに一括弁済することで、昨年8月に行った特定調停が中間合意したと発表した。
OBCは、昨年8月10日、札幌地方裁判所に特定調停の申し立てを行っていた。両社の意見が平行線を辿っている中、土木工事・設計などの北武グループ(札幌)が新たなスポンサーとなり、北海道銀行から約20億円の融資を受けることが1月末に決まった。
このため、別除権額26.6億円と回収不足額の1.5%の2.5億円の計29.1億円を、今年7月31日にまでに一括弁済することが可能となった。イオン側は、残りの契約期間11年を6年に短縮し、共益費を実費精算することを別除権協定成立の条件として、この借金の棒引きを受入れることにした。
1日(火)の記者会見で、中村代表取締役は、「新テナントの目処はついているので、この中間合意が出来たことで、新テナント誘致の交渉が出来るようになる。今までは債権が多いからと断られていたが、これでスタート出来る。再生スキーム(計画)は、メインバンクが出来るので、これから作っていく。中間合意が出来なければ何も出来なかった。7月31日までにやらなければいけないが、早ければ早く計画を作りたい。ウィングベイは、2タワー1モールで、お客さんが一方に固まらず、人が歩けるようにしたい。小樽市民が来て楽しいという施設にしたい」 と話した。
また、今年5月をもって、2番街の3階(約6,600平米)フロアから撤退する「スウィートデコレーション」と「ファイテンショップ」の長谷川グループの後には、家具のニトリ(本社)がテナント出店することも明らかにした。1番街の3階・4階の19,800平米については、「次のテナントがイメージ出来ているので出口は見えている」 とした。
一方、小樽市に対して約15億円を超える巨額の固定資産税を滞納していることについては、具体的な支払い方法を述べなかった。「過去のの赤字がきれいになり、すっきりした財務状況になる。今後、誠心誠意、市と協議していく」 と述べるに留まった。
現在、ウィングベイ小樽のテナント数は約200店舗で空床率12%となっている。今後のテナント誘致の推移に注目が集まることになる。
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