よみがえる「少女の像」!50年前の美しい姿に 

syoujonozo.jpg 小樽公園(花園5)の満開の桜の下に建つ、緑青で汚れた「少女の像」が、50年前の製作時の美しい姿によみがえった。こげ茶色の輝きを取り戻したブロンズ像が、淡いピンク色の桜に囲まれて笑顔を見せている。


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 「少女の像」の修復は、「小樽の像を守る実行委員会」(事務局・小樽市民会館)が実施。絵葉書販売で修復費用を捻出し、1体約10万円で、地元の株式会社木下合金(木下修社長)に依頼。4月28日(月)~30日(水)の3日間で修復作業が行われた。
 初日の28日(月)は、像の水洗い。50年間ほったらかしにされていた汚れを洗浄。台座部分の養生も行った。2日目の29日(火)は、涙を流しているような像の錆び(緑青)を酸で取り除き、燻(いぶし)をかけた。3日目の30日(水)は、布で丁寧にブロンズの色を調整し、クリアラッカ(ウレタン)をエアで吹き付けて、元の艶を出した。
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 木下社長と職員の2名によって、着々と作業が進められ、ブロンズ像は、あっという間に当時の美しい姿を取り戻した。「当時の姿には戻ったが、いずれ10年後にはまた緑青が出てきてしまう。まめにワックスがけが必要」(木下社長) という。
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 実行委員会代表の寺田龍吾・市民会館館長は、「この像を作成した小樽出身の彫刻家・斎藤吉郎さんの息子さんが、5月4日に来樽するので、それまでに一体でも綺麗な像を見せたかった。本当に間に合って良かった。絵葉書を購入してくれた方々のおかげです。今後、5月と6月に、斎藤さんが作成した他の像2体も修復したい」 と、美しい姿を取り戻した「少女の像」を見つめていた。
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 「少女の像」は、1954(昭和29)年の天皇陛下ご来樽を記念して、小樽市に寄贈されたが、その後、ブロンズの像部分の手入れは行われなかった。このため、顔、首、背中など像全体に緑青が目立ち、涙を流して悲しんでいるようだった。
 この光景に見かねた市民が、自ら絵葉書を作成販売して、修復費用を捻出。ようやく、1体分の費用が集まり、このほど修復した。金欠の小樽市に変わって、優しい小樽市民の手で、50年前の美しい姿を取り戻した「少女の像」は、まさに今満開の淡いピンク色の桜に囲まれて、幸せそうな笑顔を見せている。
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