昨年の市長選以来、ちょうど1年が経過し、山田勝麿市長の任期も3期・9年目が終わり、10年目に入った。4月25日(金)に行われた定例記者会見は、山田市政のちょうど10年目のスタートとなった。
そこで、本社は、昨年の市長選で掲げた選挙公約の中でも重要な、「財政再建」 「新市立病院の建設」 「地域経済と中心市街地の活性化(旧丸井今井小樽店の再活用)」について、市長の考えを訊ねた。
その会見で山田市長は、「財政再建」については、「やっぱり金がないことが一番切ない。やりたい事業が出来ない。財政再建が、一番頭から離れない。一日も早く財政再建やらないと駄目だなと、ヒシヒシと感じる」と、”日本一の貧乏市長”の、何もできない苦渋をにじませ、「金のなさをヒシヒシと実感する1年間だった」と総括した。
「地域経済と中心市街地の活性化(旧丸井今井小樽店の再活用)」については、「丸井の跡は、相当な負債があるから、その負債の処理をする強力なデベロッパーが出てこない限りは難しい」と、相変わらずの先行き不透明感を覗かせた。衰退する小樽経済と中心市街地の活性化は、公約とは逆の方向に進んでいる。
公約の最重要課題の「新市立病院の建設」は、市長が強引に推し進めた基本設計を昨年11月に”一時中断”して以降は、何らの見通しも描けず、国の病院改革の方針のもとでは、リーダーシップの発揮もままならない状況に置かれてしまった。現在は、新病院の建設どころか、総務省の公立病院改革ガイドラインによる、市立2病院の存続を模索する改革プランの策定にアップアップの状態だ。
「築港地区での新病院建設」の市長公約は、市役所でも死語になってしまった。それでも、市長公約の御旗を下ろせない市は、新病院建設準備室を5人から3人体制に縮小した。同準備室は、この1年間で何をやるのかのとの問いかけに、「現2病院の改革プランの策定にあたらせる」とした。新病院建設準備室を、この1年間は、公立病院改革ガイドラインによる改革プランの策定に当たらせるのなら、「改革プラン策定準備室」とでも名称を変更し、ガイドラインに即応する体制が必要だ。
市長任期3期目のわずか1年間で、新病院建設の公約は雲散霧消してしまった。1年前の市長選での最大争点は、病院問題だったが、新病院は、築港地区での豪華病院建設派の山田市長と、現在地周辺でのリフォーム・再検討派の2陣営(佐藤・森井)とに割れた。山田市長の30,297票に対し、反山田の佐藤・森井陣営は48,530票を集め、築港建設反対を明確にした。この票差のねじれ現象で、市民の間でも「新病院なんかいらない。なくてもちっとも困らない」との声も多い。さらに、市民から市長の”公約違反”の責任を追及する声が上がる可能性も大きい。切ないのは、こんな市政下の小樽に暮らす、市民の方か。
切ない市長の”ぼやき”を動画でどうぞ。
「いやあ、やっぱり金がないことが一番切ないですね。やりたい事業が出来ないということが、財政再建が、一番頭から離れない。一日も早く財政再建やらないと駄目だなと、ヒシヒシと感じます」
(動画1)
地域経済と中心市街地の活性化(旧丸井今井小樽店の再活用)については、「問題は3つあったんですけど、駅前と、丸井の跡と、OBCとね。駅前(ビル)はやっと工事に入り、OBCは特定調停で一定の方向性が見えてきて、ちょっとは前に進んだのかなと思いますけど。丸井の跡は中々、相当な負債があるもんですから、負債の処理をする、その分で強力なデベロッパーといいますか、それが出てこない限りは中々難しいかなと。現在、色々水面下ではやってますけども、まだ発表する段階ではありませんので、もうちょっとかかるかな」
「病院はですね、今、どうしてもこの改革プランをつくらないといけないということですから、まずは改革プランで、現在の2つある病院をですね、経営改善をどこまで図っていけるのか、それから地域との連携の中でね、市役所との問題、そういう検討が必要なんでね、その検討結果によって、新しい病院の形が見えてくると思いますので、これが一番の改革プランの作業、先ほど言いましたように、再編ネットワーク化というのは、市内全体で考えていく。地域医療をどうするかということですから、医師会と議論しながら、ザックバランに腹をわって話さないと、いいものが出てこないと思いますので、そういうのを十分議論していきたいと思います」 (動画2)
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