現代彫刻家・阿部典英さん(68)の美術講座2008「自作を語る」が、3月22日(土)13:30から、市立小樽美術館(色内1)第一研修室で開かれた。
この美術講座には約40人が集まった。阿部さんは、自身の作品約120点とともに、島牧で過ごした少年時代や美術創作活動のきっかけなどを紹介した。
中学1年のとき、菓子職人の父親が札幌で商売することになり、島牧を離れた。中学2年になると、店の経営が悪化し、従業員が辞めたため、「朝早くに起こされてパンを作ったこともある」 と振り返った。
札幌東高に進学して美術部に入部し、中村善策の弟子・伊藤正の指導を受けたが、阿部さんの抽象絵画は受け入れられなかったという。書道部にも入部しており、文字を書かず自由な発想で抽象画を描き担当教員に褒められた。「美術部では怒られたけど、書道部ではもっと書けと褒められたから悩んだ」 と、当時の絵画や書の作品をスクリーンなどで見せながら話した。
裕福ではなかった阿部さんは、高校卒業後、ゴム製造会社に就職し、夜中こっそりと南京袋に塗料などで作品を描き、この作品が絵画展で入賞を果たした。この後、レリーフ作品を手がけ、立体作品へ移行し、代表作である「MOKUJINN」、「オヨメサン」、「ネエ ダンナサン」シリーズが誕生した。
今は、小樽の朝里川温泉にアトリエを構えている。少年時代を過ごした島牧にあった自然が大好きで、「海や水がないと寂しい。だから後志が好きで、小樽にアトリエを持った」 と笑顔で話していた。
◎関連記事1