財政悪化で見直し「健全化計画」、予算特別委で論議


 3月13日(木)13:00から開かれた小樽市議会第1回定例会予算特別委員会(大竹秀文委員長)で、市が新たに見直した「財政健全化計画(一般会計分)の収支計画」が出され、論議が行われた。
 市は、2006(平成18)年2月に「財政再建推進プラン実施計画」を策定し、2007(平成19)~2009(平成21)年度までの3ヵ年で108億円の改善を図り、単年度収支の黒字化を目指していた。
 しかし、2005(平成17)年度決算で14億円の赤字となったため、この計画の見直しをせざるを得なくなった。2006(平成18)から2012(平成24)年度までの7ヵ年で、この赤字額の改善を図るため、平成19年3月に「財政健全化計画」を策定した。そのわずか1年後のこの3月には、市税収入の減少拡大などで、この「財政健全化計画の収支計画」をまた見直す結果となった。
 新たに示された計画では、市税や交付税などが減少する中、平成20から24年までの5ヵ年の歳入で、31.4億円の減少を見込んでいる。このため、この5ヵ年で下水道事業から37億3,000万円を新たに繰り入れることにしている。歳出では、職員給与費の独自削減を継続し、ボーナス(期末手当)削減や役職加算凍結を平成21年度以降も継続することにしている。また、病院事業の不良債務解消分の繰出金が、現行計画よりも5億4,500万円も膨らんだ。
 13日(木)の予算特別委で、この見直し財政健全化計画に議論が集まった。
 菊地葉子議員(共産党)は、「財源手立てのための人件費削減で、来年度以降の地方税の影響は」 と質した。「人件費削減の約5億円で、単純に市民税への影響を考慮すると、2,100万円減少する」(財政部) と答えた。
 「普通建設事業費が1億7,000万円ほど落ち込んでいるが、平成19年度に予定されていた事業が先送りになったものがあるか」に対し、「桃内のゴミ捨て場の第2期拡張工事を見込んでいたが、ずれ込む」 と答えた。
yotoku1.jpg 高橋克幸議員(公明党)は、「他会計からの繰入金として、下水道事業や基金からの借入があるが、返済は」 と質問。「他会計や基金からの借入は、その目的に支障がないように借りている。基金は、財政健全化計画が終了してから返済し、下水道事業は、3年据置きの15年間で償還する」 と答弁。
 「市長の提案説明で、平成19年度の収支見込が、15億4,000万円の赤字になると聞いたが」 と質問。「3月にきて、支出がまとまった。健全化計画の11億円8,400万円には、約3億6,000万円必要だが、市税の落ち込みなどでこの差を埋めるのは厳しい」(財政部長) と答弁。
 山田勝麿市長は、「厳しい状況だと思っている。市税や地方交付税の減少が大きい。人件費の削減はこれ以上できない。扶助費は増える一方だ。収支計画の不確定な部分はチェックして、進めていきたい」 と答えた。
 市の一般会計は、すでに破綻状態で、他会計からの借入や基金の取崩しで賄ってきているが、すでに限界点に達している。この限界にある一般会計に大きな重石となっているのは、病院事業会計の不良債務解消分の繰出金だ。
 平成18年度に12.4億円、平成19年度に16.3億円、平成20年度に17.5億円、平成21年度に21.1億円、平成22年度に20.9億円、平成23年度に15.7億円、平成24年度8.2億円の7ヵ年で計約112億円もの巨額の繰出金が、ざぶざぶと病院会計につぎ込まれる。前の計画よりも約5億円もの繰出増となっている。しかし、病院事業は、患者数や医師の減少で、さらに経営悪化が見込まれ、今回の計画でも対応できるかは、極めて疑問の残るものとなっている。
 収支計画の見直しは、まさに放蕩息子に金をせびられ続け、もはやこれ以上出せなくなった親が悲鳴を上げた格好となっている。今年4月からの病院経営次第では、またまた見直しを迫られることにもなる。毎年毎年、健全化計画を見直しているうちにさらに悪化への道を辿るばかりとなっている。
 小樽市の「財政健全化計画」は、まさに「財政悪化計画」になってしまっており、小樽崩壊への道へつながっている。

2008(平成20)年3月 2007(平成19)年3月
 財政健全化計画の収支計画

 主な変更点等

 健全化計画(一般会計収支表)
 

財政健全化計画

財政健全化計画(平成18~24年度)PDF

 小樽市の財政(小樽市役所HP)