新年度予算編成の最終段階に入る中で、小樽市(山田勝麿市長)は、一般財源に5億5,000万円の歳入不足が生じ、2008(平成20)年度の予算が組めないという危機的状況を迎えている。
このため市では、市職員のボーナス1ヶ月削減と役職加算の凍結で、不足分の5億5,000万円をひねり出そうと、市役所職員労働組合に提案していることが分かった。
小樽市財政部では、現在、2008(平成20)年度の予算組みを続けているが、地方交付税や税収の落ち込みが激しく、一般財源に約5億5,000万円の穴が開き、予算を組めない状態となっている。
「これまで事業の見直しを行い、落とせるものは落とせるだけ削ってきており、これ以上、削るところがなくなっている。福祉やゴミの負担金などは、削る訳にはいかない。地方交付税が、毎年減ってきており、過去に落とされた分が非常に大きい。最後の手段で、職員の協力をもらえないと予算が組めない。2月中旬までに財源手当てが出来なければ、予算が組めない状態だ」(財政課)。
小樽市のボーナス(期末手当)は、6月1日及び12月1日に在職する職員に対して、年2回支給している。昨年は、夏冬合わせて、28億9,000万円支給された。
今回、市が労働組合に提案した職員のボーナス(期末手当)削減案は、1ヶ月分の削減と役職加算を凍結するというもの。例えば、50万円の給与をもらっている部長では、年間ボーナス支給額で、1ヶ月の50万円と役職加算20%(10万円)×4.4ヶ月分の44万円の94万円が削減される計算だという。
財政課では、「新年度予算で歳入歳出のバランスをとるため、約5億5,000万円がどうしても必要」 として、市職員のボーナス削減分をこの歳入不足に充てることにしている。この削減の提案を、職員課が17日(木)に市役所職員労働組合に提案していた。
この提案を受けて、市職労・岩本毅執行委員長は、「小樽市の財政的な状況も分かっているが、職員にも生活がある。組合員ときちんと議論していかなければいけない。このボーナス削減額が、果たして必要なのか、人件費だけでなんとかしなければいけないものか、しっかり検証したい」 と、2月中旬を目処に組合としての考えをまとめることにしている。
職員課では、「現在、提案中で、妥結出来れば、第1回定例会にかけたい。今までにない削減で、相手のあることだから、組合員の反応を見るしかない」としている。
また、このボーナス削減提案を聞いた市議は、「職員がボーナス削減するなら、議員も部長職並みの役職加算もあるので、これについて議論しなければいけない」 と話していた。
小樽市の一般会計は、3年連続の累積赤字を計上しており、2006(平成18)年度は11億8,000万円を計上している。市では、2008(平成20)年度予算編成では、単年度収支で赤字を出さないようにしているが、累積赤字額はそのまま、また次年度に繰り越されることになる。
今回、2008(平成20)年度の予算が組めないとして、市職員の“聖域”のボーナス(期末手当)の大幅削減に踏み込んだが、市の2006(平成18)年度決算の連結実質赤字比率は18.1%で、小樽市の標準財政規模の基準16.7%を1.4%上回っている。
このまま推移すると、2008(平成20)年度決算で、18.1%から16.7%へと1.4%分の赤字を下げなければ、そのまま早期健全化基準に抵触し、イエローカードが出され、早期健全化プランの作成が迫られることになる。
1.4%の差額は、約5億円と言われ、この5億円を2008(平成20)年度決算で埋めなければならない事態となる。この意味で、再び、市職員の給与の“聖域”に手を突っ込む可能性もあり、市職員にとっては、いよいよ冬の時代が到来したことになる。
職員からは、「一般職は、役職もないので給与も少ない。それに、現在でも10%削減されているので、ボーナスでなんとか生計を立てている人もいる」、「ボーナスで住宅ローンを払っているので、ボーナスが削減されると住宅ローンも払えない」、「30代なのでまだ再就職先もあるので、小樽市が潰れるなら早く潰れれば、諦めもつく」 とあちこちで悲鳴が上がっていた。