市立小樽文学館(色内1)では、1月26日(土)から3月30日(日)まで、企画展「投稿少年 小林多喜二 八十六年目の新発見」が開かれる。
同展では、小樽出身のプロレタリア作家・小林多喜二が17歳の時に書き、昨年3月に86年ぶりに新発見された最初期の小説「老いた体操教師」とその草稿の一部を初公開する。
これまで小林多喜二の最初の作品は、文芸社発行の投稿雑誌「小説倶楽部」(大正11年3月号)に掲載された「龍介と乞食」とされていた。
しかし、昨年3月、曾根博義日本大学教授が、「小説倶楽部」の大正10年10月号に、「老いた体操教師」が掲載されているのを新しく発見し、同人雑誌「サンパン」(3月号)に発表した。「小説倶楽部」は短命の雑誌で、残っているものも少なく、「これは今世紀最大の発見で、ものすごいニュースだ」(玉川薫副館長)と驚きが広がった。
この「老いた体操教師」は、掲載された著者名が小林多喜二ではなく、校正ミスからか小林多喜三になっているのも面白い。小樽商業で実際に起こった校長排斥事件をモデルとしており、「この事件の巻き添えとなった体操教師の悲哀を、ユーモアを交え温かく描いたもので、すでに17歳とは思えない筆力をかいま見せています」(文学館)と評価している。
企画展では、この「老いた体操教師」が掲載された「小説倶楽部」と、多喜二直筆の草稿(下書き)と思われる原稿3枚が展示される。どちらも初公開となる。新発見の小説を詳しく紹介し、背景となった小樽商業学校、小樽高商時代の多喜二の模索を追い、文学修業の場となった文芸投稿雑誌を展示し、近代化文学史上に果たした役割を解説する。
1月26日(土)から3月30日(日)まで。一般300円、高校生・70歳以上の市内在住者150円、中学生以下無料。高校生以上の入館者には、冊子「小林多喜二全集未収録 小説『老いた体操教師』(解説・曾根博義)」が贈呈される。2,000部限定。
また、企画展の記念講演会「初期の小林多喜二をめぐって」が、2月11日(月)17:00~20:00、同館企画展示会場で行われる。曽根博義氏の「小林多喜二最初期の作品と文芸雑誌」と荻野富士夫・小樽商大教授の「小樽高商軍事教練事件と小林多喜二」が行われる。入場無料