小樽市の今後の病院事業に大きな影響を及ぼす、総務省の「公立病院改革ガイドライン」が、21日に決定した。
決定したガイドラインは、7月から11月まで5回開催された「公立病院改革懇談会」(長隆座長)により策定されたガイドライン案に、財政支援措置が付け加えられた。24日付けで、各都道府県知事などに通知される。
これにより、病院事業を設置している地方公共団体は、このガイドラインを踏まえ、平成20年度内に「公立病院改革プラン」を策定し、病院事業経営の改革に総合的に取り組むことが義務付けられることになった。
改革プランは、「公立病院の役割は、地域に必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供すること」とし、「地方公共団体は、当該病院の果たすべき役割及び一般会計負担の考え方を明記し、平成20年度内に公立病院改革プランを策定する(経営効率化は3年、再編・ネットワーク化、経営形態見直しは5年程度を標準)。プランの実施状況を概ね年1回以上点検・評価・公表することになった。
また、この改革プランの実施に伴う財政支援措置が追加された。改革プランの策定に要する経費や、再編・ネットワーク化に伴う新たな経費などに財政上の支援措置を講じる。
今回、不良債務(資金不足)解消に係る措置として、公立病院特例債が創設された。
公立病院特例債の創設は、平成20年度に限り、平成15年度以降の医師不足の深刻化等により発生した不良債務等を長期債務に振り替える「公立病院特例債」を発行できることとし、不良債務の計画的な解消を支援することにした。
小樽の新病院建設に関して影響を与えるのは、「公立病院に関する地方財政措置の重点化」の項目だ。
公立病院に関する地方財政措置のうち、①今後の病院施設等の整備費について病院建物の建築単価が一定水準を上回る部分を普通交付税措置対象となる病院事業債の対象から除外すること及び②病床数に応じた普通交付税措置に際して、今後の各病院における病床利用率の状況を反映することを検討するとされた。
すなわち、病院建物の建築単価が一定水準を上回る部分は除外される。小樽の新病院は、468床を156億円で建設することにしており、1床当たりの単価は3,333万円の高額となっている。これを、国立病院機構の建築単価1床当たりの約1,500万円が基準とされることになる。これは、長隆座長の1床当たり1,500万円での建設でしか認められないとの発言と一致する。
この単価で計算すると、小樽市が現在進めている新病院建設は、半額以下の70億円で十分との試算になる。市の進めていた156億の豪華病院建設は、一体誰のためのものだったのかと、問われることになる。しかし、新病院建設の前に、小樽市の病院事業は、改革プランに則り、43億円の不良債務の早期解消や、一般会計の繰出なしに経常収支を改善し、単年度黒字化が迫られるなど抜本的な改革が迫られ、新病院建設どころではない状態に追い込まれることになる。
いずれにせよ、今回の総務省の改革ガイドラインは、小樽の病院問題に極めて大きな影響を与えるものとなっている。
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◎ガイドライン 概要(PDF)
◎ガイドライン 全文(PDF)
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