雪虫が舞い、晩秋の色濃いオタモイの山中で、33体のお地蔵さんが、冬支度の白い“コート”に包まれ、ひっそりと冬将軍の到来に備えている。
オタモイの山中海岸へ至る遊歩道脇にある出羽三山神社小樽教会は、山岳信仰の霊場として独特の雰囲気を漂わせている。落葉樹に囲まれたこの神社境内には、笠を被ったお地蔵さんと不動明王に寄り添って、33体の地蔵尊が行儀良く並んでいる。
33体のお地蔵さんたちは、それぞれ、趣のある像が刻まれている。そのお地蔵さんたちは、真っ白な“コート”をすっぽり被り、すでに冬支度を終えている。静かな佇まいで並ぶお地蔵さんにかけられた白い“コート”が、晩秋の陽に照り映える。
両手を合わせ祈りを捧げる33体の石像が、優しい人の手で特別に誂えられた冬衣装を纏い、落葉樹の下に佇む姿が可愛らしい。
この冬衣装を纏った石像にも、まもなく、小樽の雪の季節が訪れようとしている。