今秋11月に、市内カトリック富岡教会(富岡1)周辺に設置予定の童謡「赤い靴」の親子3人像の原型が、姿を現し始めた。像のデザインや原型作業を担当する、版画家・ナカムラアリさん(43)は、現在、粘土での造形作業に入っており、一人一人の顔の表情など細部の取り組みに力を注いでいる。
野口雨情が作詞・本居長世が作曲した童謡「赤い靴」は、1922(大正11)年に誕生した。雨情と同居していた鈴木志郎の妻・かよが、幼くして手放した娘“きみ”への思いを打ち明けたことで誕生した童謡。
「赤い靴」にまつわる像は、すでに全国4ヵ所に建てられているが、親子3人が揃った像はなく、今回小樽で初めて建設される。この3人の像の原型作業に取り組むナカムラアリさんは、“きみちゃん”と同じ年頃の娘を持つ。父は太陽、母は月、子供は一番星とイメージし、「じっと見てもらえるような作品にしたい。3人の像を見て、見る人の状況で色々なことを感じられるようなものにしたい」と慎重に作業を進める。
作業は、張碓にある知人の工房を借りて行っている。月曜日から金曜日07:30~17:00まで作業に没頭する。原型作りは、7月1日からスタートし、木材と縄で像の芯をつくり、人間の形にするため粘土をつけていった。モデル撮影でイメージを膨らませ、3体の像を切り離して、細部のバランスを直している。
衣服も徐々につけていき、3体を合わせて調整したり、視線や手の位置や大きさを確認しながら、粘土をとったりつけたりの製作を進め、現在は約60%の完成度だという。「立体は、能面のように角度によってその表情を変える。何度も何度も像から離れたり、像を回転させたり、悩んだ」と話す。(ナカムラアリさんの製作日記)
今後も細部の微調整を行いながら、9月末までに完成させる予定としている。この後、台座を含み高さ140cmのブロンズ像となり、台座には「赤い靴」のオルゴールを設置することにしている。
この3人像は、鈴木一家が小樽の町とカトリック富岡教会と縁が深いことから同教会周辺に、鈴木志郎氏の命日となる11月23日(金)に建立されることになっている。今年2月に発足した建設委員会(高橋昭三委員長)は、全国各地に募金の協力を求めており、現在、目標額の650万円の約90%が集まっているが、「今後のメンテナンス料などもあるので、継続して集めていきたい」としている。
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