小樽市(山田勝麿市長)が進める築港地区での市立2病院の統合新築に関する、「新市立病院新築に係る市民説明会」が、8月11日(土)からスタートした。初日の第1回の説明会は、小樽市銭函市民センター(銭函2)で開かれ、25人の市民が参加した。しかし、、市側の新病院に対するこれまでの考え方や進め方に対して、市民から多くの疑問と批判が続出し、波乱含みのスタートとなった。
山田市長は、4月の市長選で思わぬ苦戦を強いられたことが、新病院問題での市民への説明不足だったとして、今回の説明会の開催となった。市長が前面に出て、直接市民に説明するのは、今回がはじめて。しかし、市長は、新病院の築港地区での建設を決め、既に基本設計を発注しており、 あまりにも遅きに失した説明会の開催となった。説明会は、8月11日(土)から26日(日)までに6回開催することにしている。
銭函市民センターで14:00から開かれた第1回の説明会には、市側から、市長、総務部長、財政部長、総務部参事、市立病院新築準備室長や両病院長と両事務局長などがずらりと顔を揃えた。市側は、「市立病院の役割と必要性」、「市立病院の統合新築について」、「現在の小樽病院の改修(リフォーム)・現在地での建て替えについて」をパワーポイントで一時間にわたり説明した。
説明の骨子は、先の市長選で、対立2候補が主張した「もう一度白紙に戻して考える」と「現在地でのリフォーム」論に×(バツ)をつけ、自ら進めている築港地区に建設に○(マル)をつけて、取り得る選択肢は、自らの主張のみだと強調した。
このあと、参加者との意見交換があり、参加者からは様々な意見や批判が相次いだ。
「施設を新築して機器を入れ替えれば黒字になるのか。今日説明したことには、病院経営を黒字にするための意欲的な言葉は何一つもない」
「小樽が稚内や根室のように、大都市から離れているのなら、大規模な総合病院が必要だと言っても納得出来る部分もある。しかし、小樽は、北海道の大都市札幌の隣なのに、こんな大規模な総合病院は必要なのか」
「小樽病院は、患者に対する対応がまったく遅れている。公立病院の過去の体制の遺物を持っている。現在は、医療はサービスと言われている」
「病院は人件費が高い。だから赤字。役人の平均所得は600万円だが、大半の市民は300万円。このまま、病院を新しくしても赤字の垂れ流しを継続するだけだ。小樽市の新病院建設の進め方は間違っている。病院を建てれば、一般会計も病院会計も黒字になるのか、具体的なことが一切ない。シミュレーションしているのか」
「全部××で築港建設だけが○と、これだけが出てきて説明会が行われても、ただ説得するために開いてるとしか思えない。”新しい病院が必要になりました、基本計画はこのようになってます、どう思いますか”と説明会を開くなら分かる。歴代の小樽市長が、石狩湾新港やマイカルを作って、全部失敗している。今回は、赤字を黒字に出来るような明確な計画を出さないと意味が無い」
「病院を建てることで市民の負担はどれくらい増えるのか。誰のための病院なのか。医師が来ないから、医師が来るための病院なのか」
「病院の説明会の冒頭に、巨額借金と赤字を抱えたお詫びを市民にするのが先なのでは。まったく残念だ。春の市長選で、山田市長は、小樽市の有権者12万人の4分の1の支持しかない。説明会を今頃開くようなことも、この結果につながっている。今回の説明会で終わるのではなく、少しでも多くの市民が納得してもらえるまで続けるべきだ。小樽市のための病院なのか、市民のための病院なのかまったく分からない」
「民間では、自分でしたことには責任がくる。今回の病院では、新しい病院を作ったが、結局、赤字になりましたと言っても、誰も責任を負わない。この体制を変える必要がある」
これらの意見や批判を受け、山田市長は、「民間の発想を取り入れる必要があるとの意見の通り、我々も平成21年度には、公営企業法の全部適用を導入したいと考えている。GOサインはいつか、説明会がこれで終わらないようにとのことですが、説明会は今日が最初で、これから月末までありますので、皆さんのご意見を検討して、最終的に決定したい」と述べた。
小樽市の新病院建設の資金は、建設引当金などもまったくなく、全額、国の起債(地方債)による借金に依存することにしている。しかし、国は、現在、全国の赤字自治体病院の自立再編に乗り出しており、豪華総合病院新設のための起債が認められるかは、まったく不透明となっている。
この中で、国の起債の見通しもつけられぬままに基本設計を発注した見切り発車で、市民説明会を開催する小樽市の能天気ぶりが、問われることになる日も近い。
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