減少止まらぬ患者数!小樽市立2病院


 市立小樽病院と第二病院の患者数が激減している。4月から6月の第1四半期で、2病院の入院・外来合わせて10,376人(前年比)もの患者が激減し、上向きになる傾向は見られない。
 市立小樽病院事務局は、今年度4月・5月・6月の病院事業入院収益・外来収益の一覧表を、7月下旬に本社に明らかにした。これによると、両院合計で、入院患者数は前年比6,453人(15.6%減)、外来患者数は3,923人(7.0%減)と、相変らず患者数の落ち込みがひどい状況が明らかになっている。
 しかし、収益面では、入院患者7人に対して看護師1人を配置する「7対1」看護体制(小樽病院で昨年10月から・第二病院で昨年6月から)をとり、入院患者一人の単価が12,680円から15,550円に2,860円アップしたため、四半期の収益は、昨年度より約1億2,000万円(9.5%増)のプラスとなっている。
 小樽病院事業では、44億円の累積赤字を抱え、2007(平成19)年度から2011(平成23)年度までの5ヵ年で、この赤字を解消する収支計画を実行中だ。しかし、患者数の減少もあり、このまま推移すれば、年間収支計画に大きな影響を及ぼすことになる。
 今年度(平成19年度)は、入院・外来収益で89億1,500万円の医業収益を出すことにしている。しかし、今回明らかになった四半期の収益では、小樽病院12億5,239万円、第二病院8億3,785万円の計20億9,024万円(昨年度19億6,921万円)となり、年間換算では約83億6,096万円になる計算で、収支計画よりも約5億5,404万円不足することになる。
 小樽病院の事務局では、「7対1看護で単価が上がっても、入院者数が減少しているので、計画通りには出来ていない。四半期だけでみると93.8%しか達成出来ていないが、44億円の不良債務分をきちんと解消する見込みが立てば、今年度の医療機器更新の起債許可が下りる。単純に3ヶ月だけでは分からない。これから独自の経営努力をしていく」 としている。6月からは、経営改善部会(信野佑一郎部会長)が開かれ、各部・各職員から経営改善の対策案313件を提出させて検討し、すぐに取り組めるものについては実施していくことにしている。
 しかし、赤字解消計画初年度のわずか四半期(3ヶ月)でも、計画の93.8%しか達成出来ていないことは、今後の収支計画遂行の前に、大きな落とし穴が立ちはだかることになった。
 患者数の減少が止まらず、病院事業の収益が改善されないことで、今年度予定しているガンマカメラやX線テレビ、CTなどの医療機器の更新にかかる2億9,700万円の起債協議も、道に先延ばしにされている。
 山田勝麿市長は、市立小樽病院と市立小樽第二病院を統合し、築港地区に156億円の巨費をかけて新築する計画を推し進めているが、現在の病院事業の累積赤字の解消が覚束無い(おぼつかない)状態では、国の起債許可はとれないことになる。
 また、国(総務省)は、現在、自治体病院の破綻を回避すべく、「公立病院改革懇談会」(長隆座長)を設置し、経営改革の基本となるガイドラインを作成中だ。小樽市の1,273億円の巨額借金、一般会計約12億円や病院会計44億円の累積赤字を抱えた瀕死の財政状況では、新病院建設の起債許可が認められる公算はまったくない。
 この中で、市長は、8月11日(土)から、新病院建設のための市民説明会を6回に分けて実施することにしている。国の起債許可がとれず、建設出来るかどうかが分からない新病院の基本設計を3月に発注し、市民説明会を開催する感覚は、すでに”裸の王様”状態になっている。
 今年度、市の病院事業の収支計画の動向にさらに注目する必要がある。

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