小樽の人工の池で自然産卵・受精するという、非常に珍しい現象からふ化したイトウが、腹につけていた「さいのう」と呼ばれる卵黄から栄養を取り終わり、やっと浮上稚魚までに成長した。
世界初の出来事ではないかと関係者を驚かせた、小樽・平野井いとう養魚場(桜5)の自然産卵・受精したイトウの卵は、4月29日に生まれ、5月23日には約500匹がふ化していた。このうち、大部分は酸素不足で死んでしまったが、約30匹が生き残り、6月6日(水)から浮上稚魚となり、水槽の中でユラユラと泳ぎ始めた。自然受精したほかに、人工授精の浮上稚魚も約30匹おり、同じ水槽の中で仲間として元気に泳いでいる。
同養魚場の平野井篤さんは、1日2~3回粉末の餌を与え、夕方には、水槽の底に溜まった残渣(ざんさ・残った餌)の掃除をしている。これを約3ヶ月ほど続け、子供のイトウに成長させ、同養魚場の人工池の中に移すことにしている。
平野井さんは、室内でも水温が15℃以下となる秋頃に、「イトウの稚魚・飼育・里親制度」を実施したいという。この生まれた稚魚を5匹ずつ10家族に預け、小樽産イトウの里親として来年6月まで飼育してもらう。来年6月に、さらに大きく育ったイトウたちを石狩川に放流する予定。
「生き物を飼って、生や死の感動や悲しみといった人間の感性を学んでもらいたい。塾や学校じゃ学ぶことが出来ない体験をしてもらいたい。里親のところで死んでしまっても、それは仕方がないことだ」と、今秋に小樽市民から里親を募集することにしている。
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