小樽海洋少年団の子供たちは、6月2日(土)・3日(日)の1泊2日で、1年間小樽で飼育したイトウを釧路湿原に放流した。
海洋少年団が育てたイトウは、「北海道大学北方生物圏フィールド科学センター七飯淡水実験所」から贈られた、純粋な釧路湿原4代目の親魚からふ化した稚魚。1年間飼育した結果、贈られた200尾のうち85尾を大きく成長させた。
小樽で飼育したイトウを、故郷の釧路湿原に放流する旅に出たのは、団員14人と保護者9人の計23人。2日(土)07:00に小樽を出発し、約7時間かけて阿寒郡鶴居村の(有)大津養魚場に到着した。
小樽から釧路までは、バスで移動するため、85尾のイトウを80Lの大きな道具箱に移した。60Lの池の水を入れ、水温を維持するため、氷袋を道具箱の角に置いた。バスの移動中は、海洋少年団の子供たちが1時間置きに水温を計り、最後の最後まで一生懸命飼育した。
阿寒郡鶴居村の(有)大津養魚場に15:00に到着。早速、放流の準備に取り掛かり、16:00から、いよいよイトウの放流を始めた。1人3尾ずつ小さなバケツに入れ、「元気に育てよ」、「頑張れよ」などと、ゆっくり別れを惜しみながら川に放流した。
3尾ずつ放流したが、これまで同じ池の中で過ごしたイトウたちは、川の中でも群れをつくり、中々沖まで進まず、子供たちとの別れを惜しんでいたという。子供たちとともにイトウを飼育した前事務局長の平野井篤さんは、「放流は大成功した。放流したイトウたちは、別れが辛くて中々離れようとしなかった。長年の夢が叶って本当に嬉しい」と話していた。
放流した川には、水生昆虫やヤマベという魚が棲んでおり、「こういった魚を捕食していけば生き延びていける」(平野井さん)と、別れを告げた小さなイトウたちは、5年後に親魚となり、新たな生命を誕生させる。
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