小樽市内の張碓からオタモイまでに点在する文学碑を集めた、市立小樽文学館の企画展「オタル縦横文学碑めぐり」が、6月2日(土)から始まった。
市内にある30の文学碑の写真や拓本、作家ゆかりの資料などが展示されている。30もの様々な表情を持つ文学碑が、一堂に並べられたのは、同文学館では、初めてのこと。
この企画展は、小樽ジャーナルの常置リンク「石碑めぐり」に触発されてのもので、文学館が文学碑を新たな視点から見直そうとする試みのひとつ。
句碑に刻まれた原本や拓本と作家ゆかりの資料と30の文学碑の写真に説明文が添えられている。会場に来ていた女性は、「小樽に文学碑がこんなにもたくさんあるのですね。知らないもんだらけで、新しいものもあるし、とてもお目にかからないものもあり、びっくりした」と、ゆっくり観賞していた。
資料の中には、朝里ダムのオタルナイ湖を一望する第一展望台にある金児杜鵑花句碑「み仏に 滝のしぶきや 百合の花」の由来を物語る貴重な写真も展示されている。この句碑は、当初は、魚留の滝の脇にあった観音堂の隣に建てられていたが、観音堂が定山渓に移されて句碑が残されてしまっていたものを、朝里ダムの第一展望台に移設したものだということが分かり、句碑の意味も理解が出来るようになっている。
また、小林多喜二の文学碑をデザインした彫刻家の本郷新が書いた手紙も展示されている。この手紙には、現在は、青年労働者の頭部像となっているが、ここには、当初、多喜二の大頭像を据えることになっていたことも分かる。
文学碑が様々な表情を見せるように碑の由来も様々な縁をもっている。
同館の玉川薫副館長は、「拓本が文学碑の実物の大きさを分からせてくれる。石碑は、周囲の建物などが壊れ無くなっても、そのまま残るので、文学的にも貴重なもの。小樽の文学碑は、手頃でバラエティに富んでおり、文学碑めぐりに最適だ。これからも文学碑展示の第2弾、第3段を企画したい」と話していた。
同展は、6月2日(土)~7月1日(日)午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)休館日は月曜。入館料は、一般300円。高校生・市内在住の70歳以上の方 150円。中学生以下無料。
◎「オタル縦横文学碑めぐり」