石狩湾をのぞむ市内10ヶ所・15碑をめぐる、市立小樽文学館(色内1)主催の「海をのぞむ文学碑めぐり」が、5月12日(土)09:30~15:30に行われた。
毎年1回は実施され、文学館設立前から数えて40回以上も行われている文学碑めぐり。市内に点在する文学碑を色々な観点から見る、文学館主催の人気行事。12日(土)は、海をのぞむ文学碑を巡るバスツアーで、抽選で選ばれた19名が参加した。
生憎の曇り空となったが、午前は、水天宮境内の石川啄木歌碑・三ツ谷謡村句碑・河邨文一郎詩碑、小樽公園の石川啄木歌碑・戸塚新太郎歌碑、もがみ公園の比良墓雪句碑、旭展望台の小林多喜二文学碑・小田観螢歌碑、ゴロダの丘(塩谷2)の伊藤整文学碑、鰊御殿敷地内の八田尚之文学碑。午後は、銀鱗荘の高濱年尾句碑、張碓の勝又木風雨句碑、朝里不動尊境内の並木凡平歌碑、住吉神社境内の田中五呂八句碑・松尾芭蕉句碑の10ヶ所・15碑を巡った。
案内人の玉川薫副館長は、文学碑建立や文学者の逸話、詩・短歌・俳句に込められた思いなどの説明を交えながら、小樽人も良く知らない穴場の文学碑巡りを行った。旭展望台にある小林多喜二の文学碑について、「伊藤整は、『文学者に石碑は要らない。本こそが石碑である。しかし、小林多喜二の文学碑は必要だ。小樽にとって優れた作家。政治のことを切り離して考えてほしい』などという言葉を贈っている」(玉川副館長)とのエピソードを披露。この後、ゴロダの丘(塩谷2)の伊藤整文学碑に移動し、「文学碑建立を断っていた伊藤整も、発起人たちの熱心な思いに負け、素晴らしい文学碑が建てられた」と説明していた。
海をのぞむ文学碑めぐりとあって、祝津の鰊御殿敷地内の八田尚之文学碑では、強い潮風が吹きつけたこともあったが、時折、太陽が雲間から顔をのぞかせ、温かい陽が差込み、参加者たちを喜ばせていた。入船の男性(80)は、「勉強になりました。小樽も広いなと思った。張碓のあんなところに文学碑があるなんで分からなかった」。富岡の女性(66)は、「本当に良い文学碑めぐりでした。いつも素通りしてしまうところでも、こういった企画があると注意深く見ることが出来るので、ありがたいです。また、参加したい」と話していた。