雪解けとともに、北限の自然林の栗林として知られる市内手宮公園(手宮3)に、チェーンソーの音が響きわたり、次々と貴重な巨木が伐採されている。
手宮公園(手宮2)は、約9,000平米の広さにソメイヨシノやエゾヤマザクラなど桜の木690本、栗の木250本があり、天狗山や小樽港も一望でき、春は花見、秋は栗拾いと市民に親しまれている。
この公園には、推定樹齢100年から170年以上の貴重な栗の自然林が広がっている。北限の自然林として知られ、北海道の美林として指定されている。
春の日差しとなった4月6日(金)、この自然林の中から、栗や桜の木を伐採するチェーンソーの音が響き、瞬く間に、巨木が根元から無残に伐採され、運び出されていた。切り倒された栗の木は、直径110cm、周囲350cmもある巨木が何本もあり、切り口からは樹木の悲鳴が聞えるような無残な状況となっている。中には、空洞の枯れた木もあるが、他の木の切り口からは異常が感じられないものも多い。
この伐採作業は、公園を管理する市の建設部が行っているもので、市職員が目視などで立ち枯れした木々をチェックして伐採し運び出す、維持・管理業務の一環だとしている。
しかし、市のホームページでは、「推定樹齢100~170年以上、古木からの実生自然繁殖と考えられ、貴重である。自然林では、北限とも言われ北海道の美林に指定されている」と記されている。
この貴重な自然林の美林の保護・保全よりも優先し、公園の維持・管理業務という名の下に、100年以上の命ある巨木が次々に伐採されいてる。犬を連れて公園を散歩していた主婦も、「なんで、こんな大きな木を切り倒さなければいけないのか。貴重な公園の樹木がなくなっていくのは耐えられない」と遠巻きに見ていた。
この栗林は、2004(平成16)年9月の台風で大きな被害を受け、巨木が倒され無残な状況となっていたが、今度は、市役所の手による自然破壊が進んでおり、貴重な天然林を伐採する方法に代わる、保護・保全対策への取組みや市民への周知方法が求められている。