22日(日)投開票で行われた小樽市長選挙で、現職の山田勝麿市長が、佐藤静雄元衆議院議員、森井秀明前市議会議員の2氏を退け、3選を果たした。
3選を果たした山田市長は、佐藤・森井2氏の猛追を受け、これまでの安泰の選挙と異なり、逃げ切り勝利となった。しかし、築港地区に建設する新病院については、投票した市民の約60.76%が反対の票を投じ意思を示したため、3選後の最大課題として浮上した。
山田陣営は、佐藤・森井陣営の急追で、陣営の引き締めを徹底的に行い、山田市長もありとあらゆる会合に顔を出し、懸命の票固めを図っていた。自・公・民の推薦もあり、既成政党をフル回転し、票まとめに走ったことが功を奏した。
3選を果たした山田勝麿小樽市長は、「厳しい選挙戦だったが、2期8年の実績が結果につながった。改めて市民に納得してもらう説明が出来た。市民との協働とともに市民が安心して暮らせる街づくりをしたい。小樽の状況を好転させ、後に引き継ぐ。新病院建設では、我々の説明不足もあったが、議会でも議論してきた。計画はこのまま進めていく。相手が元国会議員で知名度が抜群で覚悟しての選挙だった。4年間市議会議員を務めた森井さんに対してはあまり心配していなかった。性格が良いので大きく成長してほしい」
これに対し、佐藤陣営はこれまでの歴戦の選挙で培った繋がりで、票の掘り起こしを懸命に行い、現職を猛追したが、市長転身と無給宣言などが市民からソッポを向かれ、今一歩及ばなかった。佐藤静雄氏は、「組織票を乗り越えることが出来なかった。山田市長は、組織票しか取っていない。一般の人の票がない。しかし、今一歩自分の考え方が通じなかった。反省。もう政界を引退する」
森井陣営は、若さとしがらみのなさを訴え、2候補を急追したものの、素人の集まりの選対本部が十二分に機能しなかったが、反面、何もないところからのたった1人の若手市議の挑戦で、元国交省副大臣や現職2期と堂々と渡り合ったことで、小樽市政界に名を残す結果になった。森井秀明氏は、「若い人たちの投票率が上がったのであれば、先々に役に立ったのでは。現職には、この結果を受け止めて今後の政策展開をしてもらいたい」
3氏の争いとなった市長選は、巨額借金(起債)や赤字隠し、欠損金などを出している財政問題と、220億もの巨費をかけて、築港地区に建設する新病院問題に絞られていた。この中で、築港地区建設を進める現職山田市長と、築港地区建設反対を掲げる佐藤・森井氏で、その是非が問われていた。
3選を果たしたとはいえ、築港地区での新病院建設反対票が、佐藤・森井2氏合わせて48,530票も投じられたことで、今後の市政運営に大きな影を落とすことになった。