携帯電話やIP電話からの119番通報で、発信位置を迅速に把握し、消防活動に役立つための総務省のモデル事業として、全国5消防本部から小樽市消防本部が選ばれた。
総務省消防庁の通知システムモデル事業は、119番通報があった際、音声通話と共に通報者の発信位置の情報が自動的に消防本部に通知され、指令台の電子地図上に表示されるデジタル時代の新システム。
このモデル事業では、神戸市・厚木市などとともに小樽市が全国の5消防本部から選定された。同部では、「このシステムの運用をしたいという希望は出していたが、市の財政難で設置費用の負担などが出来ないと思っていたが、希望が通じたのだろう」と話している。
4月1日から運用開始され、全国42消防本部(75市町村)で導入される。このモデル事業として選ばれた小樽市消防本部(仲谷正人消防長)は、システム導入に関する初期費用の約200万円~300万円が総務省の負担となり、市は、ランニングコストのIP-VPN回線費用(月額約4万円)のみの負担で済む。
国際電気通信連合(ITU)が定める“IMT-2000”規格に準拠したデジタル方式の第三世代携帯電話やIP電話・固定電話などが対象となっている。携帯電話からの通報では、緊急通報を受信した基地局所在地等から算出された位置情報が通知されるが、GPS測位方式に対応した機種では、より正確な情報が通知されるという。
小樽市消防本部では、現在、携帯電話やIP電話からの発信位置情報通知に3台のノートパソコンを使用しているが、このシステムの導入で1台のパソコンに集約され、操作が容易になるとしている。発信番号非通知の184発信では、消防本部が緊急に位置情報を必要とした場合に、位置情報を強制的に取得出来ることになる。消防車・救急車の現場到着時間の短縮で、早期消火・救命率の向上、通知情報の確実な把握・特定が可能、いたずら電話などの抑止などの効果を期待している。これで1分でも1秒でも早く現場に到着出来れば。
2月初旬にIP-VPN回線接続工事などを行い、2月末頃に総務省消防庁実証試験を実施する予定にしている。
また、第一管区海上保安本部(港町)でも、海からの118番緊急通報に対応し、2007(平成19)年度から、この緊急通報位置情報システムを導入することにしている。
◎消防庁携帯電話・IT電話等からの119番緊急通報の係る位置情報通知システム運用開始(PDF)