山田勝麿小樽市長は、2期8年間の公約として果たせなかった新病院の統合新築をめぐり、度重なる変更案を次々と繰り出し、市議会でも疑問符が続出している。
この変更案を市民に広報などで説明もせず、12月市議会直前に議員に6ページだけの変更案を提示。基本設計委託料8,505万円が市議会で可決されようとしている。
しかし、市長の進める新病院計画については、破綻が続く自治体病院の診断などで知られる病院問題の専門家は、山田市長の“無謀な挑戦”と断定している。
山田市長の病院計画を“無謀”だと断定したのは、総務省の地方公営企業経営アドバイザーを11年間務め、テレビ東京の「ガイヤの夜明け」で紹介され、破綻した夕張市の市立総合病院経営アドバイザーも務める公認会計士の長 隆(おさ たかし)氏。同氏は、これまで自治体病院の経営破綻に数多く関与し、再生への道をつけたことで知られる病院問題のエキスパート。
長氏は、小樽の病院問題に関して報道した小樽ジャーナルの記事を参考に、小樽の病院問題を検討した結果をホームページで明らかにしている。
11月1日付の「医療経営ニュース過去ログ」では、「財政再建団体入りしてもおかしくない小樽市の起債が総務省の同意が得られるはずがない。小樽ジャーナル紙が深刻な事実を適確に報道している。山田市政の公約だそうです。帰りの燃料なしの戦艦大和の出撃です。しかし巨艦の設計は机上の空論に終わるでしょう」と断定し、「小樽市民は、このような“無謀な挑戦”を本当に求めているのだろうか」と結んでいる。
また、医療経営財務協会のホームページの12月14日付で、2006年12月1日の小樽市立病院調査特別委員会の公表資料の問題点を指摘している。
この中では、(1)小樽市の一般会計健全化7年計画を道がOKしたようですが 総務省が、修正したこの基本構想の甘さでは、起債に同意するとは到底考えられません。求められる利益を不適切な税金投入で赤字補填など論外な計画で信用されるわけがありません。
(2)建設費1平米あたり37万円を30万円に下げたというが話しにならない。公表されている建築主別単価は民間に比べて11万5千円高い。3万3千200平米だから更に38億円減額し118億円以下の工事単価でなければ同意されないのではないか。と、鋭い指摘がされている。
問題点だらけで市民不在の小樽市の新病院建設計画は、専門家が見てもどうにもならない、“戦艦大和の無謀な挑戦”だと断定されたことで、市議会や市民がこの問題でどれくらい目覚めるのかが問われることになった。