小樽市内旧国道5号線の張碓川に架かるアーチ橋の「張碓橋」が、11月18日(土)の土木の日に、社団法人土木学会の「選奨土木遺産」に認定された。
「張碓橋」(張碓68番)は、1933(昭和8)年に竣工し、73年を経た今も地域の生活道路として利用されている。北海道で最初の鋼製プラット型バランスドアーチ橋。全長72.27m。エメラルドグリーンの鋼製のアーチが支え、橋の両端には真っ赤な手すりがついているのが特徴的。
約50年前に札樽国道の改良工事が行われ、1980(昭和50)年に国道から市道になった。「張碓の自然に囲まれた住宅地の中を流れている川と、そこに架かる旧国道の特徴的なアーチ橋」として小樽市が選んだ八区八景にも指定されている。
「選奨土木遺産」は、社団法人土木学会が、先人たちが造り上げた土木施設・構造物に、再び光を当て後世に伝え、地域資源としての価値を持つことを社会にアピールするため2000(平成12)年度に創設した。
この土木遺産の平成18年度選考委員会で、張碓橋が全国25ヶ所の中のひとつとして選ばれた。小樽市内では、1998(平成10)年に認定された「小樽港北防波堤」に次ぐ2番目の認定となった。「昭和初期の札樽国道開削の歴史を伝える唯一の土木遺産。北海道最初の鋼製プラット型バランスドアーチ橋」が受賞理由。
小樽市建設部では、「この受賞を機に、たくさんの人に張碓橋のことが伝わって色々な機会で活用の仕方を議論してもらいたい。このような橋が残っていたことが小樽らしい」としている。
土木遺産に認定された同橋の写真を29日(水)に撮りに行ったところ、同橋の脇には、ゴミ屋敷化した廃車の軽自動車が不法投棄されたまま放置されており、市の受賞の喜びをよそに「選奨土木遺産」に相応しからぬ光景が広がっていた。