市立小樽文学館の支援団体・小樽文學舎は、口語短歌で知られる「並木凡平歌集」から選んだ、手作りの「凡平カルタ」を制作した。11月30日(木)まで注文の予約を受け、正月までに間に合うように年末に配布することにしている。
「凡平カルタ」は、同団体のボランティア9人が手作りで仕上げた、7cm×4.7cmの小さなカルタ。「並木凡平歌集」から50首を選び、絵札となる風景や物の写真を手分けしてデジカメで撮影、プリンターで印刷して完成させた。
並木凡平(1891~1941、本名:篠原三郎)は、札幌生まれ。早くから和歌や俳句、短歌に親しんだ。凡平の短歌は、口語の定型律で親しみやすく、多くの人に愛された。自身の短歌を刻んだ「凡平歌コップ」の制作販売もした。
道内の新聞社約30社を経て、小樽新聞社に長年勤めたが、47歳の時に突然解雇。失意の凡平を励ましたと言われる「並木凡平歌碑」が、国道5号線沿いの朝里不動尊境内に建てられている。
「廃船のマストに けふも浜がらす 鳴いて日暮れる張碓の浜」
「凡平カルタ」は、9月9日(土)から11月26日(日)まで開かれている、文学館特別展「並木凡平展」を記念して作られた。カルタの読み札50枚に短歌一首づつ、取り札(絵札)50枚に短歌の内容にあった写真と下の句の7文字が印刷されている。「お正月にカルタ遊びをしながら、小樽を代表する庶民派歌人、並木凡平の世界に親しんでもらいたい」(文学館)。
このカルタの制作に携わった小路義史さん(22)は、「短歌の内容にあった写真の撮影と選択が一番苦労しました。ぜひ小樽の人にカルタで遊んでもらいたい」と話していた。
「凡平カルタ」は1,500円。11月30日(木)まで予約を受け付け、12月27日(水)・28日(木)の両日に配る予定。来年の正月は、小樽の家から、並木凡平の口語短歌が流れ出ることになる。
問合せ:0134-32-2388 小樽文學舎(文学館内・玉川)、担当ボランティア・小路