三味線・太鼓・笛の音につられ、重厚な石蔵の扉前の高座で、“そば落”の始まり、始まり。
市内静屋通りにある日本蕎麦店「籔半」(稲穂2)恒例の「明朝・そばと落語の会」が、11月21日(火)昼夜2部口演で行われた。
同店は、小樽のニシン漁三大網元のひとつ白鳥別邸があったところで、石蔵が残り、内装は、かつての豪邸旧金澤邸を移築した趣のある和風の日本蕎麦店。
「明朝そばと落語の会」は、小樽運河保存運動で大きな役割を果たした、ポートフェスティバルの若者グループと籔半とのジョイントで、定休日を利用して1984(昭和59)年に始まり、1987(昭和62)年まで通算20回にも及んでいた。中断の後、2004(平成16)年11月、17年ぶりに復活し、今年は23回目となった。
演ずるのは、市内花園の人形店主人「竜之家明朝」こと石川広晃さん(47)。今年の演目は「看板のピン」と「ねずみ穴」の二席。玄人はだしの噺家の軽妙な語り口に、満員となった店内からは、どっと大きな歓声と拍手が起こっていた。
落語の雰囲気にピッタリな店内は、本物の寄席と見間違うほど。升酒を手に落語を楽しみ、変わり蕎麦に舌鼓を打つ籔半恒例の“そば落”。
今年は、昨年と同じく、昼夜2回の口演。14:00からの昼の部と19:00からの夜の部も、それぞれ約60人の客で満員盛況となった。中入り時には、店長が打った「ケシ切りそば」が供された。静かに蕎麦を啜る音や「美味しい」、「シコシコして最高ね」などの声が上がっていた。
小川原格社長は、「変わり蕎麦は、一昨年はユズで香りを楽しんでもらい、昨年はカボチャで色を楽しんでもらった。今年はケシの実で香ばしさを楽しんでもらう。ケシの実は、大変カロリーが高いので、この蕎麦を食べて、縮まった冬の体を元気にしてもらいたい」と、落語好きの客の応対に追われていた。