小樽市内勝納川を挟んだ酒造メーカー・北の誉酒造と雪の花酒造は、今秋に新酒の蔵出しを祝うイベントを同時期に開催し、市民の好評を得ている。
水の良い小樽の勝納川沿いには、酒造元が並び、地元産の日本酒造りに取り組んでいる。新酒の仕込み時期を迎え、2つの小樽の醸造元を訪ねた。
◎北の誉酒造株式会社(野口禮二取締役社長)は、1901(明治34)年の創業。小樽市内勝納川のたもとから、小樽の酒を全国に販売している。道内でトップクラス、100年の歴史を誇る小樽を代表する酒造メーカー。
日本酒市場では、若者の日本酒離れから需要が減り続けている。一時は、全国で3,000の蔵元があったが、今では半分の1,600になってしまった。原因は、若者の日本酒離れだ。飲んだことがない、飲んでも二日酔いになってしまうなどのイメージが強い。20代から30代になると、10代の頃にコーラなどの炭酸飲料慣れ、大人になってからはビールやチューハイなどの炭酸系のアルコール類を飲む人が多い。アルコール飲料の中では、日本酒はわずか7%になってしまっている。
「日本の国酒が7%では国酒にならんだろう。シェアの1割を日本酒とするため、色々な取り組みをしていきたい。広げるために、若い人にいかに飲んでもらうかを提案していかなければいかない」(野口社長)と、現在、日本酒での乾杯と和水(やわらぎみず)の推奨に取り組んでいる。
昔は各種会合で日本酒で乾杯していたが、いつの間にかビールに変わり、どこへ行っても日本酒ではなく、ビールやシャンパンで乾杯しているのを、「日本酒で乾杯推進会議」の会員として、どんな会合でも日本酒で乾杯することを勧めている。
また、二日酔い対策として、和水(やわらぎみず)を推奨する。「日本酒を飲んだ後に水を飲むことで、まずは二日酔いがなくなる。さらに、口がすすがれて、つまみの味もきちんと分かり、日本酒の味もちゃんと分かるようになる」という。
そして、小樽で美味しい酒造りにこだわる。「小樽は水が良いんですよ。もっと訴えるべきだ。勝納川沿いをはじめ、小樽には、日本酒やワイン、ビールの工場などがあることが何よりの証拠。もっともっと小樽の水が良いということをアピールしていかなければならない」と、今後はショッピングサイトでの通信販売に力を入れていくという。
本 社 |
小樽市奥沢1-21-15 |
代 表 |
野口禮二取締役社長 |
電話番号 |
0134-22-2176 |
設 立 |
1901(明治34)年 |
資本金 |
3億500万円 |
従業員 |
正社員40人、パート60~70人 |
事業内容 |
清酒・乙類焼酎製造と販売 |
事業所 |
本社・小樽工場、札幌営業事務所、東京支店 |
◎雪の花酒造株式会社(真栄1)は、1961(昭和36)年に勝納川沿いに設立された。1995(平成7)年から自社ブランドの製造を始め、「小樽港」や「北の美人」などの人気商品を次々に道内でヒットさせている。
2005(平成17)年3月、現社長・岸本憲宜代表取締役が就任。翌年から、自社ブランドのみの製造・販売に移行し、新製品を続々登場させ、現在は20種類にも及ぶ。
「日本酒の製造は、米に合った作り方をしなければならない。自分たちが美味しいと思っていても、お客様に美味しいと言われるように作らなければ、買い求めてもらえない」と、地元客の味覚に訴えることを第一に考える。
日本酒製造の他、1993(平成5)年にはリキュールの販売を始めており、昨年から今年にかけてシェア率が高まっている。このため、さくらんぼのリキュールを来春に製品化する予定だ。梅酒も人気が高く、梅の木を同工場に50本植樹して、梅林祭りというイベントも考えている。
「今後は、地域と一緒になった酒を造っていく」と、後志管内の米を集め、ニセコ周辺や余市周辺などといった地域ごとに分けたブランド品を造る。「工場も直すところがある。良い酒を造るには、設備もちゃんとしなければいけない。小樽の人にうまいと言われる酒を造らないと、観光客にも波及しない」と、新商品の継続と地元定着を狙う。
今秋、第1回目のふれあい祭りを開催。用意した酒の試飲が好評で、会場のイスが足りず、地面に座って酒を飲む人も出るなど盛り上がりを見せた。この祭りで、雪の花酒造の認知が小樽市民に高まったことを実感、今後も市民向けイベントなどを継続し、商品販売に力を入れることにしている。
新酒の仕込みの季節を迎え、小樽の水と今年の新米で造られた香りの良い地元産の酒が出回る日も近い。
本 社 |
小樽市真栄1-8-1 |
代 表 |
岸本憲宜代表取締役社長 |
電話番号 |
0134-22-4364 |
設 立 |
1961(昭和36)年 |
資本金 |
5,300万円 |
従業員 |
正社員8人、パート2人 |
事業内容 |
清酒・リキュールの製造と販売 |
事業所 |
本社・小樽 |