大正時代の小樽を代表する建築物「和光荘」(潮見台2)で、近代建築の先見性を再発見する「おたる歴建セミナー」が、9月27日(水)13:30に開講した。
このセミナーは、市内建築・建設業関連企業の中核的な人材の育成を目的として、小樽まち育て運営協議会(松本康一郎会長)が主催したもの。今回は、札幌大学の越野武教授を講師に迎え、通常は非公開となっている北の誉酒蔵の経営者住宅「旧野口邸・和光荘」を見学した。
1922(大正11)年に建てられた、木造4階建一部鉄筋コンクリート造の和洋折衷の豪邸で、表のモダンな洋風の建物の裏手には、日本庭園に面し、堂々とした和風建築が並ぶ。大正・昭和の天皇・皇后両陛下の宿泊所として利用されたことでも知られている、大正モダンの由緒ある建物。
「北の誉酒造」創設者・野口家の二代目、野口喜一郎氏が設計し、建築家の佐立忠雄氏のアドバイスを取り入れて建築された。1階をロッジ風に仕上げ、3階に突き出した洋室、白く塗られた手すりや窓の繊細な木組など、当時の先端的なデザイン・建築技術・建築材料が導入されている、小樽の大正期建築を代表する。
この日は、市民や建築関係の約25人が参加した。北海道随一の大正期和洋風住宅といわれる邸宅を越野講師の解説とともに見学。洋風を基調としながら大正天皇の宿泊所となった和室と寄棟の仏間、アール・デコ様式で統一されている食堂などを約1時間30分見て回った。
参加した潮見台の女性は、「10年くらい前にも見に来ているが、何もかもが素晴らしく見えます。和と洋の組合せも素晴らしいですし、なんといっても、今の時代に残るように建てられたことがまたすごいですね。斜めに作られた階段の欄間はすごいとしか言いようがありません」と目を丸くしていた。
小樽の秋の深まりとともに、和光荘は、真っ赤な蔦や紅葉などに包まれて、秋色に染まる。