小樽市を“日本一の貧乏都市”と発言した、山田勝麿小樽市長の2期8年の「退職金」が、約3,200万円に上ることが本社の調べで判明した。
山田市長は、2期8年目の最終年を迎えており、9月議会でもその去就についての質問で、今議会後に進退を表明すると答えている。市民からも市長が3期目に出馬するかどうかの関心が高まっており、市長の態度表明が注目される時期となっている。
“日本一の貧乏都市”の市長退職金を調べてみると、2期8年の通算で3,184万9,200円が支給されることが分かった。この約3,200万円の退職金額は、日本銀行総裁の5年任期の約3,400万円と並ぶ数字となっている。
山田市長は、1999(平成11)年4月に初当選し、2003(平成15)年4月に再選された。特別職の退職金は、通例は任期ごとの支給となっているが、小樽市では再選時には条例が改正されておらず、1期目の任期終了時には、退職金は支給されず、2期目に入って通算での前任期分の年数を通算した方式をとることになった。このため、市長の退職金の計算は、2期8年の通算での支給となる。
任期ごとの支給であった場合は、1期目の2003(平成15)年度の月額報酬は98万3,000円で、支給割合6.0に4年の勤続年数をかけて2,359万2,000円となり、これに2期目の退職金がプラスされるところだった。しかし、2期目に入り、財政難から市長給与を25%カットし月額73万7,250円となった。また、退職手当の支給割合も5.4に改正された。これで計算すると、2期目終了時点で1,592万4,600円となる。任期ごとの支給であった場合は、合計3,951万6,600円となるが、任期通算の場合は、8年で3,184万9,200円となり、766万7,400円がカットされた。
来年4月末で任期満了となる山田市長の2期8年約3,200万円の退職金は、任期満了から1ヶ月以内に支給される。カットされたとはいえ、“日本一の貧乏都市”で、財政再建団体転落危機の最中で、約3,200万円の退職金の支給が高いか安いかは、日銀総裁の退職金約3,400万円(5年)と比べるとハッキリする。
開会中の9月議会でも、「退職手当を市職員に支払うのは当たり前のことかもしれません。しかしながら、小樽は、すべて借金で行われており、その支払っていける体力がこの小樽にあるのでしょうか」(森井秀明議員)と、疑問を投げ掛ける質問もあった。
山田市長は小樽市役所職員として35.3ヶ年間勤め、当時の退職手当支給割合の最高額62.7ヶ月分の約3,100万円が支給されている。一般職と特別職とで2度の受給となり、総計約6,300万円もの巨額になる。
田中・前長野県知事を破って就任した村井・新知事は、任期中の退職金を受け取らないことを表明しており、山田市長が退職金受け取りで、どのような態度を示すか、市民の関心が集まることになる。3,200万円の退職金を懐にして、高齢の68歳から72歳までの任期4年間の3期目に挑戦をするか、受け取って退職するか、市長の去就が注目される。
なお、特別職の鈴木忠昭助役の月額報酬は、現在16%カット中で、月額66万5,280円、支給割合4.5に4年の勤続年数をかけて約1,200万円の退職手当支給となる。
“日本一の貧乏都市”小樽の市長約3,200万円と助役の約1,200万円の計約4,400万円の支給には、財政難の中、市民負担増を強いられている市民にとって、複雑な思いが重なることになる。