小樽市内に響く「平和の鐘」! 


tomioka1.jpg 61回目の終戦記念日を迎えた8月15日(火)正午から、カトリック富岡教会と住ノ江教会から「平和の鐘」が1分間打ち鳴らされ、小樽市内に静かに響き渡った。
 小樽のカトリック富岡教会(富岡1)と住ノ江教会(住ノ江2)では、9年前より原爆犠牲者のために、8月6日と9日のヒロシマ・ナガサキの原爆投下時に合わせ、教会の鐘を1分間打ち鳴らしている。8月15日正午からは、すべての戦争犠牲者のために「平和の鐘」を1分間打ち鳴らし続けている。
 富岡教会の鐘楼の鐘は、初代の宣教師ソラノ・デンケル神父の故郷ドイツのライン河畔コブレンツ近郊ギュルス村から、家族が浄財を集めて鋳造し、船で小樽まで送られたもの。かつては、朝・昼・夕と毎日祈りのために打ち鳴らされていた。
 しかし、戦時中に、鋳つぶして武器に変えようとする軍部からの供出命令が下った。ソラノ神父は この鐘が武器に変えられるのは忍びないと、供出をためらっているうち終戦を迎えた。
tomioka2.jpg 供出を免れたこの鐘は、戦後は男の手を戦争にとられていたため、容易に鏡楼に戻すことはできないでいた。そんな折、小樽港に停泊していたアメリカ駐留軍の兵士トーマス・ピピットさんが、ミサのために富岡教会に通いだしたのを契機に、仲間の水兵らの協力を得て、再び鏡楼に吊り上げられることとなり、現在に至ったというエピソードを持っている。
 この「平和の鐘」を打ち鳴らすきっかけとなったのは、同教会の新海雅典神父が、1995(平成7)年6月戦後50年を期して、中国の上海から南京まで日本軍による侵略の跡をたどったことによる。南京大虐殺のすさまじい現場を訪れた体験をもとに、1998年(平成10)年夏より、「平和の鐘」を鳴らし続けている。
 日本・ドイツ・アメリカの人々の平和への熱い願いがこもったエピソードを持つ「平和の鐘」は、富岡教会の鐘楼から今年も8月15日正午に1分間打ち鳴らされ、市内に鐘の音が広がっていった。 写真提供:カトリック富岡教会