小樽市保健所は、8月29日(火)に、市内遊泳用プール5施設の安全管理の再調査を行い、市内2施設において不備を確認したと発表した。
幼い少女の命を奪った埼玉県ふじみ野市の市営流水プールの事故を受け、厚生労働省の8月上旬の通知により、市保健所では、市営室内プールと民間プール4施設の計5施設の立ち入り調査を行っていた。
調査内容は、排水口の蓋の固定状況の調査と排水口に遊泳者が吸い込まれる危険性がないかの有無。市保健所職員は、プールの水の上からの目視調査と隠れた部分は施設管理者からの聴き取り調査で、安全上は問題ないと判断したと発表していた。
しかし、その後も全国各地でプール施設の不備が多く確認された。国は、8月10付けで「プールにおける安全確保のための緊急アピール」を出した。このため、保健所職員が再度立ち入り調査を行ったところ、前回の調査結果とは異なり、2施設で排水口の蓋がネジ・ボルトで固定していない不備が見られるとの再調査結果となった。
不備を指摘された2施設のうち1施設は、排水口の蓋をネジ・ボルトで固定していなかったが、排水口の蓋ははめこみ型で、容易にはずれる構造とはなっていないという。
もう1施設は、排水口の蓋をネジ・ボルトで固定せず、吸い込み防止金具を設置していなかったが、排水口は閉館日に行う全換水や営業時間外の夜間に行う一部換水に使われるもので、利用者が吸い込まれる可能性はないという。
今回の調査施設は、市営室内プール・サンフィッシュスポーツクラブ・アンビックス・板谷スポーツクラブウェルビー・コナミスポーツクラブの5施設。ただし、市保健所では、再調査結果で不備が見られた施設名の公表はしないとしている。
公表しない理由として、「対象施設において、吸い込み事故の可能性が低いこと」、「各プール管理者に、国からの通知により『プールの安全確保のための自主点検』をそれぞれの責任において行い、その結果を施設の入り口に掲示するよう要請しています。それにより利用者は、施設の安全性を確認できるものと考えられます」としている。
しかし、板谷スポーツクラブウェルビーでは、「保健所が不備のあった施設名を公表しないのは、かえって利用者に不安を与えるのでおかしい。蓋がネジ・ボルトで固定されていれば安全というのもおかしい。ボルトで固定することで、利用者がボルトに足を引っ掛けてケガをすることもあり得る。うちは18年間、ボルトなどをしないで無事故で営業してきている。安全には絶対の自信がある。第一、利用者がいない時に排水するのに、どうやって排水口に人が入っていくのか。ネジ・ボルトで固定していないと安全ではないという新聞報道もおかしい。うちはネジ・ボルトで固定していないが、安全は確保できている」と、施設名を公表しないことに疑問を投げかけていた。
市保健所は、同2施設に「排水口の蓋をネジ又はボルトで固定すること、吸い込み防止金具を設置すること、及び工事完了までは監視を強化し、常時蓋の状況を点検記録する」と指導した。2施設のうち1施設は8月28日(月)に改善工事が完了し、もう1施設は9月2日(土)から調査を行い一部改修工事を実施することにしている。