奥沢ダムの階段式水路が陥没!90年ぶりの大規模補修工事!

 小樽市の水がめ奥沢ダム(天神2)の階段式水路として知られている階段式溢流路(いつりゅうろ)の石垣が陥没した。このため市水道局では、今秋から約1億6,000万円をかけて大規模補修工事を行うことになった。
 奥沢ダムは、1914(大正3)年に創設された水道専用のダム。顧問技師工学博士・中島鋭治氏の指導のもと、当時の最先端の工法や技術が駆使された。冬の豪雪や春の雪解けなどで人力による工事は難航し、築造に約6年9ヵ月を要したが、約92年経つ今も現役で活動している。
 ダムからの溢水を流下させる階段式水路も小さな補修工事などは行われたが、現役バリバリの水路だった。約90年間、雪解けや豪雨による水圧に耐えてきたが、長年にわたり傷つき、ついに水路両側の石垣が陥没してしまった。
 階段式水路(階段式溢流路)は、奥沢ダムからの溢水を12mの落差を10段で流下させる。春の雪解け時にはゴウゴウと流れ落ち、流路にかかる水管橋からは、四季折々に見事な景観美が見られる。12mの落差・10段の階段式水路の長さは約100m。春先の雪解け水や豪雨などの影響で、左右の石垣が大幅に崩れ、陥没箇所が目立つようになってきた。
 このため市水道局では、平成18年と19年の2ヵ年で、約1億6,000万円をかけて大規模補修工事を行うことにした。
 工事は、今年度と来年度の秋から冬への水量の少ない期間を選んで行われる。1ヵ年ごとに左右の石垣を大規模補修する。工事は、現在の石垣よりも内側1mにコンクリートを打って強度を保ち、現在の石垣と同じように石を積むことにしている。水路の幅を狭めることになるが、工藤利典水道局長は「なるべく昔の形を変えたくない。今後もこの景観を残していきたい。水道事業としては利益を生む工事ではないが、90年前のこの階段式溢流路を大切に守っていきたい」と話している。

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