市内富岡2丁目の高級住宅街にある、日本銀行の所有地8,591.2平米(約2,600坪)の売却問題で、付近住民は日銀総裁宛に話し合いを求める「陳情」を提出していたが、日本銀行では「現在、行内で検討中で、今月中にも検討を終え住民側に回答する」ことにしている。
JR小樽駅を真下に臨む富岡2丁目地区は、かつて小樽の経済を支えた企業や銀行の社宅や官舎が建ち並び、高級住宅地として知られている。この地区には、日本銀行旧小樽支店支店長宅や官舎跡地、テニスコートが建ち並び偉容を誇っていた。
2002年9月に同支店の閉鎖に伴い、この一等地の行方に関心が寄せられていたが、2006年6月12日(月)になり、日銀は付近住民に同地売り出しの予告挨拶を行い、ホームページ(HP)上で、媒介契約をしたことを明らかにしていた。
急浮上した日銀敷地の売り出しに対し、付近住民は9名の連記で、6月15日(木)付の日銀総裁宛の陳情書を提出し、日銀との直接話し合いを求めていた。そして17日(土)には、作成したビラ50枚を付近に配布していた。
22日(木)、本社の問合せに対し、日銀文書局管財課では「住民の陳情書は6月16日(金)に受け取った。現在、行内で論議している最中で、どう回答するか検討中です。今月中には、行内の検討も終わるので、それを待って、日銀の考えをちゃんとお話しして次のステップに入る。頂いた陳情を無視しての入札はしない。
景観問題では、街づくりは建築基準法・都市計画法などの規制法令があり、その範囲内でどうするかを考えることになるが、ここの地区にどういう建物が建てられるかなどは、行政側が指導してやって頂く問題だと思っている。
これまで日銀の所有物件を売却するのは、すべて仲介業者を通じてやっていた。日銀と住民とが直接話し合うことは、いままで、この4、5年でも記憶にない」と話しており、日銀所有地売却で住民との直接話し合いが実現することになると、日銀初の出来事ともなり、大きな注目を集めることになろう。
現在、福井俊彦日銀総裁の村上ファンド投資をめぐって大きなニュースとなっている中、同行の所有地をめぐって、小樽市民との話し合いに応じ、街づくりに協調姿勢を見せるかが問われるものとなっており、今後の推移に関心が寄せられることになる。
一方、小樽市は景観問題の頻出で特別景観地区の拡大などを運河地区周辺などで行っており、「景観行政団体」として、強制力を持った規制を行うことも予定しているが、新たに急浮上した高級住宅地での景観問題にどう対処するか、改めて市の景観行政や都市計画、街づくりの本質が問われる事態になりそうだ。
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