小樽市公会堂(花園5)にある小樽市能楽堂(旧岡崎家能舞台)が、6月1日(木)から3ヶ月間の一般公開に先立ち、岡崎悠吾氏(66)所有の豪華絢爛な能装束など13点611品が、5月29日(月)に小樽市に寄贈された。
小樽市能楽堂は、1926(大正15)年に佐渡出身の実業家岡崎謙氏が、入船町の自邸の庭に建てたもので、岡崎家能舞台として知られている。資材には、船一隻を借り切り運搬してきた直径2.4mもある故郷佐渡の神代杉や九州産の檜・道産の松などの特選材がふんだんに使われている。
鏡板の「松」、切戸口の「竹」、揚幕部板戸の「唐獅子」は、狩野派第17代の狩野秉信(かのうもちのぶ)が、延べ2ヶ月滞在し書き上げたもので、平泉の中尊寺に次ぐ、東北以北では唯一の格式ある能舞台。
1954(昭和29)年岡崎氏の死後、彼の遺志により小樽市に寄贈され、1961(昭和36)年公会堂の移築と同時に現在地に再建された。1985(昭和60)年に小樽市の歴史的建造物に定められており、1993(平成5)年から一般に公開し能楽の関係団体などにより、能や謡、仕舞などの稽古や発表会が開催されている。今年は、6月1日(木)から8月31日(木)までの3ヶ月と、公開期間を大幅に延長し、各能楽会派による公開練習などが行われ、一般見学が出来る。
能舞台を建設した岡崎謙氏の孫にあたる岡崎悠吾氏が、これまで所有保管していた能装束の表着(上着)55着、着付(内着)21着、袴10着から謡曲本356冊、屏風4双など13点611品が、小樽市に寄贈されることになり、29日(月)に小樽市役所市長室で寄贈品の目録が、岡崎氏から山田市長に手渡された。
寄贈した岡崎氏は、「市が、僕のおじいさんの能舞台を6月から3ヶ月も一般公開してくれるというので、能舞台だけではおもしろくないので、市財政も厳しいため、僕が持っているおじいさんの能装束を使って頂きたいと寄贈しました」と話し、目録を受け取った市長は、寄贈された能装束を前に、「うれしく頂戴致します。お預かりしこれからも大事に保管していきます」と喜んでいた。
寄贈された能装束などは、6月1日(木)からの一般公開で展示することにしている。この能舞台と能装束が一堂に公開されることで、かつての小樽の実業家の文化度の高さと財力の豊かさを偲ぶことが出来ることとなった。
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