海産物で富を築いた遠藤又兵衛の邸宅(富岡1)が、昨年11月15日から今年の1月13日にかけて、約20年ぶりの改装工事が行われ、リニューアルした姿が5月の一般公開で見られる。
遠藤又兵衛とは、羽後(秋田県)の出身で、1879(明治12)年に小樽に定住して、海産物商として財を成した人物。
「小樽御殿」の名で知られた、遠藤又兵衛邸(現立正佼成会小樽教会)は、屋敷町として名高かった富岡町1丁目の高台にある。1902(明治2)年に建てられ、土地1,281平方メートル(388坪)に、建坪延べ766平方メートル(232坪)を誇る豪邸。高いレンガ塀で囲まれ、木造瓦葺(かわらぶ)き、下見板(したみいた)張りの、武家屋敷を思わせる豪壮なつくりとなっていた。
同邸は、和風を基調としながらも、玄関脇に洋風の八角形の白塗り応接室を設けているのが特徴的。1984(昭和59)年、老朽化による新道場の建築にあたり、取り壊される予定だったが、邸宅の正面部分の171平方メートル(51.8坪)が保存され、現在に至っている。
1985(昭和60)年7月に、小樽市指定歴史的建造物第4号となり、1995(平成7)年には、小樽市第8回都市景観賞を受賞。2005(平成17)年5月から、初めて一般公開され、展示会やお茶会などの使用もあった。
昨年11月から今年1月にかけて行われた改装工事では、正面左部分の倉庫を多目的ホールへと改装し、八角形の応接室の内側・外側の壁のモルタル塗り替え、塀の内側部分の木材の取り替え、土台となっていた木材の入れ替えなどの工事行われた。
多目的ホールでは、倉庫として使用していたところに通路を作り、当初のままのイメージを再現し、展覧会などに活用してもらいたいとしている。応接室では、変色とひびが原因で塗装を直した。塀は老朽化で木材が腐っていたため新しく補修した。
まだ、瓦屋根の一部など改装や補強が必要で、「貴重な財産なので大事に扱って残していきたい。小樽市内でもだんだんと古い建物が無くなってきているので、この歴史的な建物を徐々に直していきたい」(高橋秀典沙外部長)としている。
今年の一般公開は、5月21日(日)から28日(日)までの1週間を予定。10月頃まで展示会などの使用申込みがあれば受ける。
問合せ 立正佼成会小樽教会 0134-23-7265 小樽市富岡1-9-4