今年の3月で98年の歴史に幕を閉じる小樽市立堺小学校(東雲町9・森真由美校長)で、3月に退職する港春月(60)教諭の公開授業が、2月24日(金)9:40から行われた。
これは、閉校する堺小とともに教員生活36年の歴史に幕を閉じる、大ベテラン・港教諭が培ってきた経験や技術を、少しでも若い教員たちに見てもらいたいとして開かれた。港教諭は、2004(平成16)年に緑小から堺小に移って来て、現在は、同校の4・5年生の複式学級の担任をしている。
公開されたのは国語の授業45分間。4年生8人と5年生6人がグループに分かれて、「ごんぎつね」という物語を、「人物の心情を読み取り豊かな音読にする」をテーマに、「怒りがあるから力強く音読したほうが良い」や「いや、静かに読んだ方が」などと意見を出し合った。
市内の教員や市外の岩内・ニセコの教員約30名が参加。港教諭の子供たちとの触れ合い方や、45分間という授業時間の使い方などに目を光らせていた。
港教諭は 、「瞬く間に36年が過ぎました。子供たちに恵まれ、本当に良くしてもらった。途中で涙が出てきそうになりました。公開授業だからって気取るとかそういうのではなく、日常の積み重ねを見てもらいたかった。若い先生たちには、地面をしっかり踏んで地道に進んでもらいたい。日々の取組みが人間関係を作っていくんです。飾らないことですね」と、目に涙を浮かべ話していた。
ニセコ小学校の薮田晃一(28)教諭は、「港先生は本当にすごい。マネ出来ない。良い勉強になりました」。潮見台小学校の東素子(37)教諭は、「以前1年間だけ一緒に勤務したことがあったので、本当にさみしいです。すごく勉強になりました」と、港教諭に握手を求めていた。
森校長は、「退職する先生たちの培ってきた宝を、今の若い教師たちに残していってもらいたい。1コマの授業を見てもらうだけでも全然違うことが分かる。ベテラン教員がつんだ経験を残していくのが、責任ではないだろうか」と話していた。