小樽市の平成18年度予算が編成され、2月10日(金)に発表された。
新年度予算は、一般会計613億3,496万円、特別会計548億9,756万円、企業会計283億7,255万円の総額1,446億507万円となった。
昨年度と比べると、一般会計で19億6,295万円の3.1%減、特別会計で6億9,891万円の1.3%減、企業会計で16億7,377万円の5.6%減と、各会計すべてが減額となり、総額では43億3,563万円の2.9%減となった。
山田勝麿小樽市長は、「各部の要求を精査し、この予算案を固めた。基本姿勢として、これまで2年間が赤字予算だったので、3年連続の赤字予算を回避し、均衡予算として行った。人口減による市税や国の交付税の落ち込みが激しく、厳しく見積もらざるを得なかった。一般財源の大幅な落ち込みで新規事業も限られ、予算規模も小さなものとなった」と、新年度予算が超緊縮型の小規模予算となったと語った。
平成18年度一般財源収入351.6億円に対し、歳出の必要額361.3億円で、財源不足額は9.7億円となる。このため、財源対策として、水道・産廃・基金など他会計からの6.4億円を充当した。それでも不足する残りの3.3億円については公的資金借換債の導入を図り、3年連続の赤字予算を回避し、“収支均衡”予算にしたという。
しかし、実質的には財源不足額がそのまま赤字となるため、収支均衡などは到底図られていない。他会計からの借入は、親(一般会計)が、子(他会計)が貯めた金を巻き上げた格好となっており、子供からの借金はそのまま残る。借換債も親のツケを子供の代にツケ回ししただけで一時的な赤字回避策でしかない。
親が借りたローンの残債を一括返済し、新たに子供名義で借換のローンを組んだようなもので、実質赤字が解消されているわけではなく、子供が元利を長年に渉って返済するという、赤字予算の先送り策でしかない。この新年度予算からは、無理矢理に子供から借金を重ねに重ね、ローン返済も子供頼りで延命を図っている、実質破産した情けない親の姿しか浮かび上がってこない。
「借換債でやるのは、財源不足を薄くするだけで抜本的対策にはならず、当面の財政負担を軽くするだけのもの。それでも平成17年度の20億に近い赤字を、18年度も引きずっていかなければならない」(磯谷財政部長)と、新年度予算の赤字回避策が小手先だけのものであることを認めている。
この3年で予算規模は、年々縮小するのに反し、累積赤字は年々拡大し、新規事業も思いに任せぬ状況が続き、2期目の山田市政は、めぼしい施策が打ち出せないままでいる。
新年度予算は、破綻している市財政を糊塗するばかりで、巨額の累積赤字の解消策をなんら示せておらず、「日本一の貧乏都市」の実態を明らかにしているだけに過ぎない。
収入が一向に上がらず、支出が収入を毎年上回っており、支出を削減する大ナタも振るえず、小出しの歳出削減が続く。人件費の支出が大きいが、道庁に追随して、市の職員給与の10%削減(現在7%削減中)を、平成19年度から行うことになった。20億に及ぶ累積赤字の解消には、さらに人件費に大ナタを振るう必要が迫られることも考えられ、市職員には冬の時代が長く続くことになる。
市の予算編成のポイントに散りばめられている語句で、「財政健全化」は「財政赤字化」、「赤字予算を回避」は「実質3年連続の赤字予算」、「収支均衡予算」は「見せ掛けだけの赤字回避“偽装”予算」と、読み変えた方が問題の本質がはっきりと見えてくる新年度予算となっている。
平成18年度主要施策一覧