サンタ プロジェクトの経過とお礼
羽田野さんから先日のコロンビア・サンタプロジェクトへの経過報告とお礼のメールが来ましたので、そちらに転送します。色々とご協力いただきまして有り難うございました。本文にもありますが、今回の件は大成功だったようです。出来れば来年もまたやりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。今年も今日で最後です。良いお年をお過ごしください。青年海外協力隊後志OB会・斎藤道子(小樽在住)
羽田野さんからのメール <サンタ・プロジェクトの経過とお礼>
毎年12月に入ると中南米の国々は一気にクリスマスモードへと突入します。ここコロンビアの山の上にあるマニサレスも、町の広場や道路には巨大な天使やマリア像、その他様々なモニュメントが光を放ち、各家庭も玄関から窓から壁からすべてイルミネーションやロウソクで埋め尽くされ、ツリーやsebreと呼ばれるキリストの生誕を表した人形を家の中に飾ります。
この時期大人はPaseo(小旅行)やFinca(農場)に出かけ、ごちそうを食べ、飲んで踊り明かし、子ども達はNino
Dios(イエス・キリストの意。コロンビアではサンタクロースの役を務める)から山のようなプレゼントをもらうのを楽しみにしています。
ところが私の配属先のNGO:ベルサージェス地域開発センターが対象とする貧困層の子ども達は、幼児でもNino
Diosはプレゼントを持って来たりはしないことを知っています。クリスマスは期待しても無駄だと・・・・。
しかし、今年のクリスマスはベルサージェスの子ども達にもNino
Dios、もといサンタクロースはやってきました!!それも地球の反対側の日本から・・。
もともとこのセンターには(というかこの国には)Padrinoと呼ばれる風習があります。Padrinoというのは本来カトリックの洗礼に立ち会う名付け親のことですが、毎年12月にクリスマス・プレゼントをもらえないような貧困層の子どもの臨時のPadrinoになり、衣類や文房具、おもちゃなどを贈るのです。が、センターが対象としている子ども達は市内14ヶ所のセクターに約1,500人。センターの職員が自分の家族や親戚、友人等に呼びかけても集まる数はたかがしれています。毎年集まったプレゼントを今年はこのセクターと限定するか、クジ引きで配っていました。
世界共通 “子供たちの笑顔” |
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そんな中、今年9月頃私が授業を担当している3ヶ所のセクターの先生から「カオリの日本の友人にもお願いできないだろうか」との依頼がありました。日本からとなると送料もバカにならないので、あまり期待はできないなと危惧しつつも、日本人にとってもコロンビアの子ども達にとっても日頃なじみのない国へ想いを寄せるよいキッカケになるかもしれないと思い、何人かの友人と家族、それに協力隊の後志OB会の皆さんにダメモトで声をかけてみました。
5つか6つでも集まればまぁいい方だろうと淡い期待を抱いていたのですが、ラテンサークルCLUB
LATINOの皆さんからの大口の寄付、さらに後志OB会を通じて北海道新聞および『小樽ジャーナル』のWEBサイトにも掲載していただいたおかげで、小樽や余市のまったく見知らぬ方々までが高い送料をかけて心のこもったプレゼントを贈って下さいました。
セクターの先生と一緒に、プレゼントの中身が均等になるよう、一度開封し、量の多いモノは分けたりして、なんと全部で100コ近くのプレゼントができました。一つ一つに添えられた温かいメッセージカードも、完璧にとはいきませんでしたが職員と一緒にスペイン語に訳しました。
そしてホンモノのサンタさんよろしく大きな袋にプレゼントを詰め込み、各セクターを訪問。私が授業を行っているCarmen,
Sierra Morena, San
Joseの3地区はもとより、14セクターの中でも最貧困地域と言われる
Avansadaの子ども達にまで行き渡りました。
子ども達はもちろん大喜び!!プレゼントがもらえる、ということ自体はむろんのことですが、遠いアジアの島国から送られてきたもの、ということ。その遠い島国に自分たちに贈り物をくれ、手紙を書いてくれた人々がいるということ。これらのすべてが、マニサレスから一歩も出たことがないような子ども達にとって、好奇心を刺激する印象的な出来事だったようです。カードの裏に書かれたスペイン語の訳ではなく、日本語のメッセージを何度も見直し、これはなんという字か、なんて書いてあるのか何度も聞いてくる子がいました。
お礼のカードを書くよう促すと、カードだけでいいのにわざわざ自分の宝物箱から人形や置物などを持ってきて日本のPadrinoに送りたい、という子もいました。気持ちはとてもありがたいのだけれど、それを断わるのに苦労しました。
そんな姿を見ていると今回のことを通して、コロンビアと日本の人々がお互いの国への親しみと興味を伸ばしてくれれば、という当初の目的だけではなく、子ども達が「人の温かい気持ちを受け取ること・人へ気持ちを送ること」まで学んでくれたのかもしれない、と感じられとても嬉しく思いました。
『子ども達はサンタクロースが実在しないことをいつかは知る。しかし心の中でサンタクロースが占めていたスペース、空想や想像上の友人が羽を休め、世界の美しさを無条件に信じられるその空間は彼や彼女の中から消えることはない。目の前に見える世界だけが全てではないと知っていること、サンタクロースが体現する人間の温かい愛情や思いやりを受け止め、今度は自分が発する側にまわること、そのためのキャパ、ゆとりを一人一人の子どもの心の中に育むためにサンタクロースは存在する。そのスペースこそがサンタの本当の贈り物なのだ。親からの愛情にかけるひとしずくの魔法とともに・・・・・』
うろ覚えなので名前は思い出せませんがそう言った童話作家の人がいました。
まったく会ったこともない外国の子どもへの見返りを求めない温かな愛情、日本から届いたプレゼントは確かにマニサレスの子ども達の心に確かに届きました。自分の身の回りから外の世界に目を向けてみること、遠い国に自分たちに想いをかけてくれる大人がいること、人間の愛情を受け止め、自分も返していくこと、そして世界はそう捨てたものではないこと・・・・。
日本のサンタクロースがコロンビアの子ども達の内面に作ってくれたこのスペースは、たとえ小さくても彼らの奥深いところに息づいて、これから彼らが歩んでいく困難な道を照らす光になってくれる気がします。
この場をお借りして心から皆様に感謝申し上げます。本当にどうもありがとうございました!!羽田野香里