峯山冨美さんが呼びかけ人の代表となって、小樽の街並みを考えるシンポジウム実行委員会主催の「小樽の街並みを考えるシンポジウム」が、12月3日(土)14:00から運河プラザ3番庫(色内2)で開かれた。
高層マンションの建築などで、街並みの景観が変化してきている小樽市。「今こそ景観の保存・再生の議論が求められている」と開かれたシンポジウム。北海道職業能力開発大学校・建築科の駒木定正助教授、(株)石塚計画デザイン事務所の石塚雅明代表取締役、映像コーディネーターの渋谷明都氏らをパネラーとして、観光カリスマの小川原格・籔半代表取締役をコーディネーターに、パネルディスカッションが、市民約70名を前に行われた。
峯山呼びかけ人代表は、「観光の目玉となる運河が、妨げられるようなことに対して、我々は声を挙げなければいけない。しかし、マンションが建つメリットもあるし、我々も運河保存だけを考えるのも良くない。小樽の経済のことも考えなかればいけない。小樽市がこの間に入って、この問題をどう考えるかが問題」と挨拶をした。
石塚代表取締役は、「暮らしの価値を高める景観創造。大切にしたい価値を認め合う。様々な可能性を具体的に検討する。このような開かれた議論の場をつくる。まちづくりの方向をしっかり共有する。そして、新たな暮らしの価値が生まれる」と話した。
駒木助教授は、「街は変わらざるをえない。ただ守るだけではなく、どうすれば良くなるかを考える必要がある」と、マンションが建つ以前の色内通り・駅前の変化などの画像をスクリーンに映しながら話した。
渋谷氏は、「『海が見えるように』と、海のそばにマンションを建てさせるなんて自己中心的な感じがする。ニョキニョキ竹の子みたいに建てなくても、小樽には坂があり、どこからでも海を眺められる。山や坂の傾斜に沿って家を2階でも3階でも建てればいいじゃないか」
会場からも、「この街並みの変化が良いのか悪いのか、小樽は良い方向に向かっているのか、皆さんはどう思っているのだろうか。建築中で厳しいこともあるが、まったく可能性が無くはない」、「小樽の変わりようは、本当に品位がない」、「ありとあらゆる手段を用いて、諦めないで、今必要なこと、これから必要なことを追求するべきだ」との意見も。
小川原格・籔半代表取締役は、「変わっていく中で、譲れる所と譲れない所がある。もう一度、この街を磨かなければいけない」と締めた。
小樽市は、1983(昭和58)年に「小樽市歴史的建造物及び景観地区保全条例」を制定。明治・大正・昭和と営々と築き上げてきた先人たちの近代化遺産ともいうべき歴史景観のおかげで、多くの観光客を迎え入れる全国有数の観光都市となった。景観と経済がうまく調和するには、多くの市民の意見とさらなる知恵の結集が必要となろう。