「日本一の貧乏都市」と山田勝麿小樽市長が自嘲的に称した小樽市。約1,300億円の巨額借金、異例の2年連続の赤字予算、手持ち現預金ゼロの極貧状況が続く中、どこから調達したのか、12月15日(木)に、総額17億円のボーナスを市長や市職員・市会議員ら2,050人に支給した。
15日(木)に支給されたボーナス(期末・勤勉手当)は、市長・助役・収入役ら三役と一般職員の2,018人に16億6,767万円、議長・副議長・議員の32人に3,735万円の総額17億500万円の“大盤振舞い”となった。
支給額は、市長217万円、助役185万円、収入役164万円、部長職123万円、次長職116万円、課長職106万円。一般職員の平均支給額は82万円。課長以上の幹部職員は100万円の大台を確保。不況にあえぐ市内の民間ボーナスとの落差を見せ、相変わらずの「官高民低」の“役人天国”となった。
開会中の12月市議会(第4回定例会)では、市の財政危機に応じる経費削減が求められ、議員定数削減が大きな課題になっている中での支給となった。議長140万円、副議長126万円、議員115万円の総額3,735万円をもらって、4減(平成・公明・民主市民)か、2減(自民)か、0(共産)かの議員定数削減論議が行われている。
小樽市財政部の試算では、平成16・17年の2年連続の赤字の累積で、これから歳出削減を行った対策後の平成18年度でも、19億円の累積収支不足額が生じる。この19億円の収支不足額を解消するのには、「神風が吹いても到底無理」と言う。
財政破綻で実質では、すでに“倒産”している小樽市役所。民間では、このような状況では、到底ボーナスなどは支給されない。累積赤字を増やしてまでの17億円の“大盤振舞い”に、失政のツケを回される市民の嘆きは深い。ボーナス支給を1回だけ削減するだけで、累積収支不足が解消するのだが。市民に聞くと、「市民がこんなに困っている中で、ボーナスも議員数も半分で十分だ」の声が圧倒的に返ってくる。
市長・職員・議員とも自主削減で、昨年比では支給額が若干減ってはいるものの、財政健全化への必要額から見たらスズメの涙程度でしかない。
財政再建団体転落の危機にあった他の自治体(福島県矢祭町など)では、市長給与の半減、助役・収入役の廃止、議員定数の半減、職員数の大幅削減、庁舎やトイレの自主清掃など涙ぐましい努力で再生への道を歩んでいる。ますます悪化する財政状況の中で、小樽市の取り組みはまだまだ甘いと言う市民が多い。
「日本一の貧乏都市」からの脱出策『財政再建推進プラン実施計画』すらまとめられない小樽市役所へは、市民のますますの厳しい目が必要になっている。
なお、市の一般職で組織する市職労(自治労小樽市役所職員労働組合)では、このボーナスで、今年度の人事院勧告での0.05ヵ月分増とされた手当分が据え置きされていることで、16日(金)8:50から9:19までの29分間の時限ストライキを打つことにしていた。しかし、14日(水)に、助役交渉で「検討する」との回答を得たことを理由に、スト延期を決めた。
ボーナス支給日の翌朝のストライキが実施されれば、ボーナスを懐に入れての“優雅な”ストライキだっただけに、市民の反感を買うことは必至で、市の関係者もホッと一息の体だが、財政危機さなか、まだまだ市職員の意識改革も求められている。