2004(平成16)・2005(平成17)年と、2年連続赤字予算という“離れ技”での予算編成を行っている、「日本一の貧乏都市」からの脱出策を模索している小樽市。現在、市役所を挙げて「財政再建推進プラン実施計画」の策定中で、11月には、取りまとめて公表することにしていた。
しかし、一般財源探しの行き詰まりと国の三位一体改革の動向から、同計画の策定は延び延びになり、ついに来年2月に持ち越され、“延長戦”を余儀なくされている。30日(水)11:15から、鈴木忠昭助役・山田厚総務部長・磯谷揚一財政部長らが記者会見して、実施計画策定が出来なかった経過と検討状況を明らかにした。
小樽市の財政危機が現行収支で推移すると、2007(平成19)年には累積赤字が62億円に達し、財政再建団体転落ラインに到達する。財政再建推進プランは、この財政再建団体転落への回避策で、同実施計画の策定が急がれていた。
「シリーズ財政再建」の特集を連続して展開している「広報おたる」の10月号では、「本市では、『財政再建推進プラン実施計画』を『集中改革プラン』と位置づけ、本年中に本誌やホームページなどを通じて、市民の皆さんに公表する予定です」と約束していた。山田市長も「11月中には実施計画を取りまとめる」と明言していた。
このため市では、市議会にも実施計画の策定時期が延期されたことを説明するとともに、同じく記者会見で「財政再建推進プラン実施計画策定に向けた検討状況」を明らかにした。
実施計画策定が延びたのは、国の三位一体改革の動向が見えないことが原因としている。これは、小樽市が必要な経費の半分以上を国からの普通交付税に依存していることによる。今後の実施計画策定での改善必要額も、国のさじ加減では、地獄に落とされる可能性も高い。
1,300億円を超える巨額の借金に喘ぎ、借金返済のピークを迎えた2005年には、年間約80億円の返済を迫られている。
来年2月の実施計画策定時には、どのような具体的収支見込みが示されるかで、財政再建団体転落への一本道か、市が予定している2009(平成21)年の収支均衡が図れるかの大きな岐路に立たされることになる。
「日本一の貧乏都市」の脱出策に見通しがつくのはいつのことになるのだろうか。
◎関連記事