強風が吹き荒れ大シケとなっていた11月7日未明に、小樽~新潟間を結ぶ新日本海フェリーの「らいらっく」(18,225トン・近正則明船長)が、入港着岸時に強風のため港内で船体が流され、態勢を整えるため移動中に、港内に停泊中の漁船に接触事故を起こしていたことが判明した。
「らいらっく」は、小樽~新潟間を約18時間で結ぶ高速のカーフェリー。全長約200m、速力22.7ノット、乗客定員約900名、トラックや乗用車など約200台を積載出来る巨大高速船で、新潟港を10:30に出発し、翌日の04:10に小樽に到着する。
11月7日(日)04:10に着岸予定の「らいらっく」は、港内に入港しところ、折からの強風に煽られ、同船の左舷船尾部が、港内に停泊中の沖合底引き網漁船・第三十八桂丸(池下仁船長、17名乗組み、総トン数177トン)の船首部に接触した。フェリーの乗客120名、乗員と漁船の乗組員の双方の人命に異状はなかった。「らいらっく」の左舷船尾部には、漁船と接触した痕跡とみられる傷跡が点々と付いていた。
小樽海上保安部では、一管本部から同部への午前4:50頃の情報入手として、「フェリーらいらっく漂流情報について(第1報)」を午前6:25に発表。「らいらっくは小樽港内に入港したものの、東からの強風(15~20m)によりフェリー岸壁に着岸出来ず厩(うまや)岸壁方向へ流されました。午前6:10現在、再着岸作業中です。なお、流されている際に港内錨泊中の漁船と衝突したものとの情報もありますが、双方ともに人命に異状はないとの連絡を受けております」と発表した。
また、午前7:45には「フェリーらいらっく漂流情報について(第2報)」を発表。新日本海フェリーから同部への午前6:55頃の情報入手として「カーフェリーらいらっくは、午前6:35タグボートを使用し、フェリー岸壁に着岸しました。なお、乗客120名、乗員の人命には異状はなく、原因等詳細は引き続き調査中です」と発表した。
しかし、午後1:00に「フェリーらいらっく漂流情報について」は、その後の情報を整理したところ、漂流事実がないことから「フェリーらいらっく接触事故について」に訂正しますと発表。「フェリーらいらっくが入港着岸時に折からの強風により船体が圧流されたため、港内で態勢を整えようと移動中のところ、同船の左舷船尾部が小樽港内に錨泊中の沖合底引き網漁船・第三十八桂丸(池下仁船長、17名乗組み、総トン数177トン)の船首部に接触したものとわかりました」との一転した最終報を発表した。
11月6日から7日にかけて札幌管区気象台は、「大雨と強風に関する石狩・空知・後志地方気象情報」を次々と発表し、「発達中の低気圧が7日夜にかけ北海道付近を通過する見込みで、海上では7日昼前にかけ南東の風が非常に強く、7日夕方から西の風に変わり引き続き8日にかけ強く、波の高い状態が続く見込みです」と、強風・波浪注意報を出していた。