秋の深まりとともに美術をゆっくりと味わえる、小樽出身の画家たちを集めた2つの展覧会が、市立小樽美術館(色内1)で開かれている。
美術館1階にある中村善策記念ホールでは、「小樽風景の展開/初公開・人物スケッチ」。風景画家・中村善策の小樽を描いた作品を中心に、初期から晩年までの代表作と遺族より借用した、中村善策が書き留めていた人物スケッチが展示されている。
2階の企画常設展示室では、小樽出身の女流画家3人を集めた「小樽の女流たち 幻・花・空 藤本俊子・加藤清江・高橋好子展」。個性的な3人の女流の世界が展示されている。
美術館の1階と2階に、小樽出身の画家が揃っての展覧会じっくりと作品を鑑賞出来るよう企画されている。
1階の中村善策記念ホールでは、小樽出身の風景画家として知られている中村善策の初公開となる「人物スケッチ」、鉛筆・ペンと水彩などの23点。小樽を描いた油彩16点、掛け軸3点が展示されている。人物スケッチでは、自画像から、中村の家族、長兄などが並べられている。
2階の企画常設展示室では、「小樽の女流たち 幻・花・空 藤本俊子・加藤清江・高橋好子展」が開かれており、戦前、戦後から、女流画家が少ない中、活躍した3人の藤本俊子14点、加藤清江16点、高橋好子14点、計54作品がそれぞれの個性とともに集まった。
会場に来た、加藤清江さんの娘、加藤峰さんは「母が病床の頃、『回顧展をする』と言っていたが、願いを叶える前に亡くなってしまった。だから私が母の願いを叶えたいと思い、美術館に寄贈しました。こうやって展覧会を開いてくれて本当にうれしい。この母の絵を見ると、当時の生活を思い出します」と、少し涙を目に浮かべながら作品に見入っていた。
美術館前のプラタナスの並木の色づきを眺めながら、美術館での絵画鑑賞のひとときを楽しみたい。
同展の会期は、2005年(平成17)年10月21日(金)から2006(平成18)年2月19日(日)まで。晩秋から真冬までの間の開催で、雪あかりの路の期間中まで開かれる。
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)・祝日の翌日・年末年始(12/31~1/5)
観覧料:一般300円、市内高齢者・高校生150円、小中学生無料。
問合せ:市立小樽美術館 0134-34-0035
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