小樽市富岡1丁目にあり、小樽御殿の名で知られる市指定歴史的建造物、遠藤又兵衛邸(現立正佼成会小樽教会)で、16日(金)から19日(月)まで、「こぎんの会」作品展が開かれている。立正佼成会小樽教会は、同建物の保存に力を尽くし、今春から「この邸宅を、市民に幅広く、文化活動の場として活用してもらいたい。」(田中快枝小樽教会長)と、無料で貸し出ししている。
同邸宅は1902(明治35)年に、海産物商として財を築いた遠藤又兵衛が、自宅として建てた木造平屋一部2階建ての豪邸。和洋折衷の建物で、玄関脇に白塗りの八角形の洋室が張り出している。
遠藤又兵衛邸は、1984(昭和59)年、老朽化により取り壊される予定だったが、立正佼成会本部の協力で、邸宅の正面部分が保存された。その後、邸宅は小樽市指定歴史的建造物となり、現在部分だけでも、その当時の豪邸の貫禄を漂わせている。
こぎんの会は、小樽市の40から80代の女性15名が、月1回、生涯学習プラザ・レピオに集まって活動している。こぎん刺しは、津軽の農民の手で生み出された、藍染の麻地に白い木綿糸で織目に沿って、手刺しするところに特徴がある。
「こぎんの会」作品展は、遠藤邸の和室2部屋で開かれている。壁には、様々な種類のこぎん刺しの入った衣類が掛けられ、テーブルには、細かい手作業が施された巾着やバッグが並ぶ。別の部屋には、しおりやコースターが即売され、体験コーナーもあり、無地のコースターを使い、実際にこぎん刺しを体験することが出来る。
同会の井澤栄子会長(80)は、「もともと、手仕事が好きだった。一日中この作業をしているかもしれません。2年前に生涯学習センター・レピオで、春か秋の3ヶ月の体験学習があると知り参加しました。そして、私も含めた体験学習の参加者たちから、続けたいとの要望があったので、こぎん会を作り、月に1回、品評会というかたちで、レピオで活動しているんです」と、作品を並べながら話した。
高橋真理子さんは、「年に1回の展示会に、このすばらしい建物を貸して頂いて本当にうれしい。建物がこぎん刺しの雰囲気と良く合い、ここで作品展が開けたことにすごく感謝している」と、生徒の作品をチェックしていた。
小樽の豪商の大邸宅で開かれている作品展で、300年の伝統あるこぎん刺しを直接目にし、体験出来る貴重な機会が提供されている。